昨日のコラムで、コースターの乗客はあなた一人と書きましたが、厳密には正しくありません。むしろ、一つのコースターに無数のコクピットが存在する、というイメージです。
最初は複数の同一のレールをイメージしましたが、それだとかえって分かり難いと考えました。

各コクピットでは、あなた同様に、そのレールの上下に反応して、各自の判断で赤か青のボタンを押す人びとがいます。
彼らは、そしてあなたもまた、自分以外の人々が存在を知ってはいますが、彼らがどんな人なのかは、特定の人々を除いて原則的には知りません。

そして、ある時間枠において、全てのコクピットの、赤ボタンを押した回数(×変化率:以下同)と離した回数、あるいは青ボタンを押した回数と離した回数に応じて、その直後のレールの軌道が変化していきます(これが暗黙のルールです)。

そのルールは単純です。原則的には、赤ボタンを押した回数と青ボタンを離した回数の合計が、赤ボタンを離した回数と青ボタンを押した回数の合計よりも上回ればコースターは上に、下回ればコースターは下に行きます。

ただし、原則として、どのコクピットでどのボタンが押されたかは、その時間枠の中ではあなたには分かりません。もっとも、後日、それらを確認することは、不可能ではないかもしれません。
それらの傾向を調べれば、各コクピットの人たちがどのようなタイミングでボタンを押しているかを、ある程度掴めるかもしれません。

それが分かれば、大多数のコクピットで押されるであろうボタンの色を事前に予測し、あなた自身に有利になるであろうボタンを押すこともまた、不可能ではないかもしれません。

でも、多くのコクピットがほとんど同一の判断でボタンを押すことは考えにくいので、少数のコクピットであっても、非常に大きい変化率(増減率)を掛けている人が押すボタンの色を予測する方が、あなたにとってはやり易いかもしれません。

ところで、このゲームには胴元が存在し、場合によっては全コクピットがどの色のボタンを押そうとしているかを、あなたに(そして他の人にも)示してくれます。
ただし、それはボタンを押そうとしているだけであって、必ずそのボタンが押される訳ではありませんので、注意が必要です。

各コクピットの人々は、様々な判断材料に基づいてボタン操作をします。彼らの眼前には、遠ざかるレールと1台のモニタがあり、モニタには現在世界中で起こっている出来事が、余すところなく映し出されています。

多くの人は、基本的にはこのモニタの情報を見ながら、どのボタンを押すか、あるいは押しているボタンを離すかを判断します。
モニタには、各コクピットでの判断の結果として、レールの軌道がどちらに向かったかも示されますので、それに基づいた判断もまた頻繁に行なわれる傾向があります。

コクピットでモニタにしがみ付きながら、必死の形相でボタン操作を行なっている人もいれば、ただ通り過ぎるレールだけを見ながらボタン操作を行なう人、あるいはボタン操作を完全に機械に任せて、コクピットでは機械のメンテナンスに集中する人など、様々です。

あなたは、コクピットの中でどのような行動を取っているでしょうか?

このゲームはなかなか奥が深そうですが、そう易々とは勝たせてくれないようです。忘れがちなのは、コクピットの中では必ずしもボタンを押し続ける必要はない、ということです。
乗り物酔いしそうな悪路では、ボタンから手を離してじっと目を閉じていることも、一つの重要な選択肢だと思います。