エクセルで度数分布を表示させる場合、通常は分析ツールを組み込みます。そして、その中の「ヒストグラム」を選択するわけですが、今ひとつ使い勝手が良くありません。
何よりも、余計なアドインを組み込みたくない場合は、この方法は使えません。

実は、このアドインはFREQUENCY関数を用いており、この関数単独でも度数分布の集計が可能なのですが、これは配列数式となりますので、やはり慣れないと使い辛いように思います。
そこで、もっと直接的かつ直感的に度数分布を求める方法を、ご紹介いたします。

それには、COUNTIF関数を用います。COUNTIF関数については、それほど難しいことはないと思いますが、例えば次のように用います。

 =COUNTIF($J$5:$J$4110,">-5")

これは、J5~J4110セルの中で、値が"-5"よりも大きいセルの個数を数える、ということを表しています。ここで注意すべきは、条件部分を""で囲むということです。
ちなみに、">"部分は全角で表記していますが、これはブログの表示が乱れることを防止するためであり、実際には半角で入力する必要があります。

ここでは、J5~J4110セルに、株価の変動率を全体の標準誤差で割った値が、入力されているものとします。
最初の式は、その値の内"-5"よりも大きい場合の数を求める、ということになります。

続いて、最初の式の下のセルに、条件部分を">-4"に変更した式を入力し、更に同様に、以下、条件部分がセルの値の最大値(この場合は"8"とします)に達するまで数式を入力していきます。
すなわち、最終行の数式は、以下のようになるわけです。

 =COUNTIF($J$5:$J$4110,">8")

あとは、これらの行間の差分を求めれば、それが度数となります。更に、その度数を順次累計していくと、累積度数になるわけです。
さらに、これらのチャートを作成すれば、ヒストグラム(度数分布)が得られます。チャート形式については、好みに合うように設定してください。

その際、X軸に表示する値を、別途、隣接する列に用意しておく必要があります。これは、例えばCOUNTIF関数の条件部分の値、もしくは、隣接する行の数式の条件値の平均値、を用いれば良いでしょう。

このようにして作成した度数分布チャートが、次図になります。

これは、1301極洋の1993/11/1~2010/7/9の株価終値に基いた、変動率/標準偏差の度数分布です。チャートでは分かり辛いですが、3.5以上の度数は51、-3.5以下の度数は21にも達しています。

全体では4,106ですから、割合で考えるとそれぞれ1.2%、0.5%となります。これは、正規分布の範疇を完全に超えていると考えられます。

株価の変動率が正規分布ではなくべき分布に従うことは、経済物理学の研究などにより明らかにされていますが、上例でもそのことを裏付ける結果となっているようです。