前回の記事「移動平均を用いた新ロジック適用のトレーディングシステム開発」において、新ロジックの基本的なアイデアと概要について述べました。
今回は、それを適用した実際のシステムにおける性能について報告いたします。

新ロジックを適用したシステムを確認したのは、日経平均株価と8001伊藤忠商事の2銘柄です。これらについて、累乗平均、累乗平均2、累乗平均3の3システムを、それぞれ正逆2通りで最適化しました。
ここで、累乗平均2システムは、株価の動きを累乗平均とその3日回帰直線の傾きで定義したもの、累乗平均3システムは、株価の動きを任意期間の回帰直線の傾きで定義したものです。

これらの累乗項はいずれも"1"、すなわち単純移動平均(相加平均)とし、最適パラメータの選定は直近継続期間が最も長いものとしました。
なお、最適化対象指標としては、勝率やPF、損益レシオ、平均損益率など、トレード数に強く依存する指標は除外しています。

以下に、各システムの代表的な性能指標と、資産カーブ、及び損益累計チャートを示します。また、簡単な説明を記します。









日経平均株価の累乗平均ドテン正システムでは、累乗平均2が最も良好な性能となっています。ただし、直近においてはやや性能がやや鈍化傾向にあります。
累乗平均は2018年以降、累乗平均3に至っては2013年以降、長いドローダウンが続いています。その原因は、主に2013年からの株価上昇局面における、売りシステムの機能不全にあります。









日経平均株価の累乗平均ドテン逆システムでは、累乗平均3が最も良好な性能となっています。ただし、いずれのシステムも直近における性能の低下が著しく、運用には適しません。
その原因は、正システム同様、主に2013年からの株価上昇局面における、売りシステムの機能不全にあります。









伊藤忠商事の累乗平均ドテン正システムでは、累乗平均2が最も良好ではあるものの、いずれも2009年以降はほとんど機能していません。
その原因は、2009年以降の株価上昇局面における、売りシステムの機能不全にあります。









伊藤忠商事の累乗平均ドテン逆システムでは、累乗平均が最も良好な性能となっていますが、その一方で直近1年強における運用損益率は、唯一のマイナスです。
その原因は、直近の株価急伸局面における、売りシステムの機能不全にあります。

今回は表やチャートを示しただけの内容となってしまいました。次回以降は、もう少し詳細に、各システムのロジックに対する考察を行います。