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システム寿命簡易判定の実装 [KFシステムクリエイター]

7月5日のコラムにて、システム寿命の判定法として、最適パラメータの変化を捉えることを提唱しました。その際、最適パラメータが変化したかどうかを確認する手段として、最適パラメータのメインピークとセカンドピークの値を比較すれば良いのではないかと考えました。

最適化対象指標値が、メインピークでの値よりもセカンドピークでの値が上回った時、最適パラメータが変化したと言えるわけです。
ただし、これは必要十分条件ではないことに注意する必要があります。すなわち、セカンドピーク以外のパラメータが、メインピークに取って代わる可能性は反映されません。

そのため、この判定法はあくまで簡易的なものなのですが、少なくともその時点で最適パラメータが変化していることは確実です。
それだけでも、システムが最適な状態を保てなくなったことを判定できるため、簡易判定法として有用であると考えます。

さて、問題はそれをシステムにどのように実装するか、ということです。そこで、改めてシステムを精査してみると、最適パラメータのメインピークとセカンドピークは、時系列分析結果から取得できそうですが、問題はこの2組のパラメータにおけるそれぞれの最適化指標の値を、どうやって取得し記録するかです。

実はKFシステムクリエイターでは、他のツールからのデータ参照を容易にするために、システムを保存する度にdatファイルを生成する機能があります。
この機能を利用することで、異なる2組のパラメータにおける最適化対象指標の値を記録することが可能となりました。

次図上段は、時系列分析結果を記録するインデックスシートの一部です。赤枠で囲った部分が、今回新たに実装した項目です。
また、下段のサマリーシートでも赤枠の部分を変更しています。

200825a.png

200825b.png

時系列分析結果から最適化対象指標を選定したら、そのセル番地をサマリーページのテスト対象欄に入力しておきます。この値は、インデックスページの最適化対象指標欄から参照されます。
この最適化対象指標はインデックスシート上の項目名と照合され、該当する項目のメイン及びセカンドピークの直近パラメータ値を抽出します。

サマリーページのテーブルNo.欄にテーブルNo.を入力することで、該当するテーブルにおけるパラメータ値を直下の2欄に表示し、そのパラメータを用いて各性能指標が計算されます。
時系列分析結果はテーブルNo.0として手動設定欄に反映されますが、通常はメインピークの値となります。

ここに新たにテーブルNo.3を設けることで、それをセカンドピークのパラメータに対応させました。すなわち、テーブルNo.欄に"3"を入力すれば、各性能指標はセカンドピーク時の値として再計算されます。
最適化対象指標値はテスト対象欄の右欄に表示されるため、テーブルNo.を切り替えてこの値を比較すれば、パラメータ変化の簡易判定が可能となります。

datファイル生成マクロに、このテーブルNo.を切り替えて各々の最適化対象指標値を求める記述を追加することで、システムを保存する度にインデックスシートの当該欄に、メインピーク時とセカンドピーク時の各値及びその差分を記載するようにしました。

その結果は、サマリーシートの機能判定欄に"/"で区切って追加され、上記差分が負でなければ"OK"、負ならば"NG"を表示するようにしました。
ちなみに、機能判定が"OK/OK"ならば運用継続、次図のように"STOP/NG"ならば運用停止となりますが、それ以外の場合は要注意ということになります。

200825c.png

特に、判定が"STOP/OK"及び"WORNING/NG"の時は、慎重な対応が必要です。その時点におけるドローダウン等の状況にもよりますが、再度時系列分析を行うなど、より詳細な検討が求められます。
その結果、運用継続か停止かの判断を行うことになりますが、迷ったら停止した方が良いかもしれません。

最適パラメータ変化の簡易判定は、KFシステムクリエイターならではの機能です。堅牢なシステムは最適パラメータが変化しないという大前提の下に、それを実現可能なシステム造りを目指してきました。
今回の改定は、その集大成とでも言えるものです。変更箇所はわずかですが、その意味するものは非常に大きいであろうことを確信しています。

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