以前ちょっとご紹介したことのある「クオンツトレーディング入門」ですが、内容が濃密なこともあって、まだ読み終えていません。
今日時点で、ようやく240ページ、全体の80%弱まで目を通しました。

クオンツトレーディング入門 (ウィザードブックシリーズ 171)

  • 作者: リシ・K・ナラン
  • 出版社/メーカー: パンローリング
  • 発売日: 2010/10/15
  • メディア: 単行本


この書籍は、タイトルからも想像できますように、今までのトレード本にはないタイプの内容となっています。
それは、土屋氏がブログで一貫して述べていることと非常によくマッチし、同氏のブログ(恐らくセミナーも)を読み解くための副読本としても有用だと考えます。

様々なクオンツ用語は元より、各種モデルやリサーチ、リスクなどについて、多岐に渡って解説されています。
内容的には文章による表現が主となっているため、理系の私にとっては非常に難しく感じるのですが、文系の方なら理解しやすいのではないかと想像します。

したがって、本書では必然的に、例えばVaRなどは分かっているものとして用いられていますが、それらの理解を深めるためには、Y102さんご推薦の「金融・証券のためのリスク管理と統計解析」などの書籍が役立つものと思います。

本書の内容を完全に理解しようと思うと、恐らくは何冊もの専門書が必要になるかもしれません。ただ、クオンツトレーディングのエッセンスは、非常に分かりやすくまとめられています。
トレードに関する全体像を把握するための総合カタログとして、本書を利用するのも良いのではないかと思います。

冒頭にも述べましたが、本書は土屋氏を師と仰ぐシステムトレーダーにとっては、必携の1冊だと思います。
ただし、そのような方々にとっては、本書に語られている内容は既に実践済みかもしれません。

本書の内容は、私のトレーディングスタイルとは必ずしも相容れるものではありませんが、書かれている内容は非常に参考になりますし、非常に多くのアイデアをもたらしてくれます。
私がこれまでに読んだトレード本の中では、確実にベスト10、あるいはベスト5に入るものと思います。

本書はけして安くはありません。そのため、目次を確認したり、できることなら書店で実際に手に取って内容をチェックした上で、それでも必要だと感じた方は、購入を検討したら良いのではないでしょうか。

各章の冒頭に書かれている名言も、非常に含蓄があります。最後に、その一部をご紹介したいと思います。

「現状のみならず、未来も考慮しなければ、賢明な決定はできない。」(アイザック・アシモフ)

「すべてのものは可能な限り単純化すべきだ。しかし、単純化しすぎてもいけない。」(アルバート・アインシュタイン)

「数学を拷問せよ。そうすれば奴らは何だってしゃべる。」(グレッグ・イースターブルック)

「思考と行いの進化は最初はすべて異端に思え、非行に見えるものだ。」(ジョージ・バーナード・ショー)

ついでに・・・

「正しく評価せよ。」(Kフロー)