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トレーディングシステムの同一性と買いトレード運用 [システムトレード]

昨日の記事で、売りトレードのみで最適化を行い、その結果、ドテンシステムにおける売り運用より優れたシステムが得られたとしたら、それとドテンシステムの買い運用とを合成すれば良いのではないか、と書きました。
結論から申し上げますと、そのようなシステムは存在しません。

実際に売りトレードのみで時系列分析を行ってみたところ、得られたシステムの最適パラメータは、全ての最適化対象指標において、ドテンシステムの場合と完全に一致しました。
よく考えてみれば、これは当たり前のことです。その理由は、実は2020年11月17日の記事「爆発的な収益は売りトレードによってもたらされる」で述べていますが、もう少し分かりやすく説明します。

買いと売りとが完全に対等であるドテンシステムにおいては、買いトレードを休んでいる間は必ず売りトレードが機能しています。
そして、買いトレードの手仕舞い株価は売りトレードの売り建て株価と同じであり、逆もまた成り立ちます。

今、あるドテンシステムにおいて、買い建てから運用を開始し、その後交互に買いと売りを繰り返して売りの手仕舞いで一連の運用が終了するものとします。
買いと売りの回数をそれぞれn回とし、運用開始時の時間(日付)を0、終了時の時間を2nとします。

i回目の買いトレードによる損益をb(i)、同じく売りトレードによる損益をs(i)とし、時間tにおける株価をk(t)とすると、買いトレードの累計損益B、及び売りトレードの累計損益Sは次式になります。

 B=b(1)+b(2)+b(3)+・・・+b(n)
  =(K(1)-k(0))+(k(3)-k(2))+(k(5)-k(4))+・・・+(k(2n-1)-k(2n-2))

 S=s(1)+s(2)+s(3)+・・・+s(n)
  =(k(1)-k(2))+(k(3)-k(4))+(k(5)-k(6))+・・・+(k(2n-1)-k(2n))

ここで両式を比べてみると、k(1)からk(2n-1)は符号も合わせて全て共通していることが分かります。そこで、両式をまとめると、次式が得られます。

 B=S+k(2n)-k(0)
  =S+⊿k

ここで、⊿kは運用開始時から運用終了時までの株価増減量を表します。

この式から明らかなように、売りトレードの累計損益が最大になるということは、買いトレードの累計損益もまた最大になることを示しています。もちろん、その逆もまた成り立ちます。
更に、買いトレードと売りトレードの累計損益が共に最大ならば、ドテントレードの累計損益もまた最大であることは自明です。

したがって、買いトレードや売りトレードにおける最適パラメータが、ドテントレードにおける最適パラメータと同じになることは当然ということになります。
逆に、これらの間の最適パラメータが一致しないということは、システムに重大な欠陥が含まれている可能性があります。

さて、そうなると、売りトレードの成績が良くないドテンシステムの性能を向上させるためには、もう一つの選択肢、すなわち、買いトレードのみでレバレッジを掛けて運用する、という方法を採ることになります。
昨日ご紹介した伊藤忠商事累乗平均逆システムの自己合成システムにおいて、買いトレードのみで運用した結果を示します。

ここで、運用レバレッジは1.2倍としました。昨日の記事では1.4倍程度が必要としましたが、ドテン運用における成績と同程度の性能を得るためには、1.2倍で十分でした。
以下に、レバレッジ1.2倍で買いトレードのみの運用を行った場合の、性能指標と資産カーブ、そして累積損益率を示します。
システムトレード_性能指標_20201207a.png
システムトレード_資産カーブ_20201207b.png
システムトレード_累積損益率_20201207c.png

資産カーブの直線性も然ることながら、特筆すべきは複利効果の向上、すなわちCSRの大幅な上昇です。この指標が1を超えるとかなり優秀な部類に入りますが、結果は1.01となっています。
その結果、累積損益率は直近で18.0まで向上しています。

ドローダウンの数値そのものは、ドテン運用時よりも悪化していますが、これは2008年10月の急落時におけるものであり、それ以降は概ね20%以内に留まっています。
これは十分低い水準であり、実運用上問題とはならないと考えられます。

ただし、次図に示すように株価は緩やかな上昇基調の過程にあり、今後下降に転じた時に買いトレードのみで収益を確保できるかという課題はあります。
システムトレード_全体チャート_20201207d.png

ただ、チャートを見ると、例えば2015年から16年に掛けて株価が下落している時期にも、大きく資産を伸ばしていることから、単純に株価の上昇が止まると機能しなくなる、と考える理由はありません。
株価の上昇基調がいつまで続くかも分かりませんし、あくまで資産カーブの推移を見て判断すべきことだと考えます。

以上より、トレーディングシステムにおいて、売りトレードが十分に機能していない場合は、買いシステムにレバレッジを掛けて運用することも有効かもしれません。
一方、売りトレードだけの性能を向上させることは原理的に不可能であり、あくまでシステム全体の性能を向上させる必要があります。

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