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機能し続けるシステム [システムトレード]

システムトレードの最大の関心事は、運用している、あるいは運用を予定しているトレーディングシステムが、運用開始後どれくらいの期間に渡って機能し続けるか、ということではないかと思います。

システムが機能し続けるということは、運用開始以降、システムに何の変更も行わずにいても、資産残高が増加を続ける、ということです。
ただし、タイミングによってはいきなりドローダウンに見舞われる可能性もありますし、どの程度の期間を持って増加し続けていると判断するかも重要です。

KFシステムクリエイターで作成したシステムを運用候補とする場合、少なくとも直近2年程度以上もしくは全期間の直近2割程度以上に渡って、最適パラメータが変化しないことを条件の一つとして推奨しています。
ただし、ごく短期間にスパイク状のパラメータ変化が見られる際は、その期間のシステム性能を精査した上で、変化としてカウントしない場合があります。

昨年9月から今年の2月に掛けて、約90銘柄のシステムを作成し、ココナラのポートフォリオにアップしてきました。それらのシステムのほとんどは、上記の最適パラメータに対する条件を満たしています。
その中で、現在どれくらいのシステムが機能していると推察されるかを調べたところ、少なくとも半数近い40システムほどが該当しました。

当然、これらのシステムの設定は作成以降変えておらず、現時点においては事実上、半年~1年以上に渡って機能し続けていると判断できます。
それら個々のシステムの詳細な結果については、ココナラブログに順次掲載していますので、興味のある方はそちらも併せてご覧ください(マネー・副業カテゴリ内の黒猫のヘッダ写真が目印です)。

さて、これらのシステムを見ますと、中には最適パラメータが10年以上に渡って変化していないものも見受けられます。これはいったいどのように考えれば良いのでしょう?

最適パラメータが変わらない限り、そのシステムの売買プロセスが変わることはありません。この事実は、システムを作成した時点から未来永劫に渡って存続します。
ある日時において、株価の推移によって点灯する売買シグナルは、そのシステムがいつ作成されたものであっても、最適パラメータが同じであれば同じシグナルを発します。

例えば、10年前から最適パラメータが変わらないシステムは、10年前に運用を開始していたとしても、今から運用を開始したとしても、今後得られる損益の増減率は同じということです。
では、時を戻して、現在得られているシステムの最適パラメータが、過去10年に渡って変わっていなかった場合、そのシステムは10年前から機能していたと言えるのでしょうか?

この答えが是ならば、少なくとも10年に渡って機能し続けるシステムが存在する、ということになります。

今はどうか分かりませんが、以前は「ウォール街のランダム・ウォーカー」を著したバートン・マルキール氏を崇拝するインデックス信仰が勢力を誇った時期がありました。
その時の命題の一つが、アクティブ投資はインデックス投資には勝てない、というものでした。

その根拠は効率的市場仮説に根差しており、ランダムな市場からはいかなるエッジも見出すことは出来ない、というものだったと思います。
その反例の一つとして、機能し続けるトレーディングシステムの存在、が考えられました。

効率的市場仮説に対する反例という位置付けでなくとも、このような聖杯を探す作業は、過去から恐らく現在に至るまで、そして未来に向けても、多くの人々が追い求めていることだろうと思います。
今回見出した、少なくとも10年以上に渡って機能し続けているシステムの存在が、それらの解の一つであるかどうかは分かりません。

特に、米トランプ政権が誕生してからの4年間は、米株価が高騰し過去最高を更新するような、ある意味特殊な時期でした。
この間の外国株式インデックスファンドの利回りは、3年間で30%程度となっています。直近1年だけを見れば、100%を超える利回りのファンドも存在します。しかし、これがインデックスファンドである限り、市場が収縮に向かえばそこから利益を得ることは難しくなります。

一方、アクティブファンドであれば、有望テーマに絞ったりすることで、市場の下落時にもある程度の利益を上げる可能性が生じます。
ただし、管理手数料等の運用コストがかさむため、長期的に見れば運用コストの低いインデックスファンドの方が有利だと言われています。

更に、市場の下落時にも利益を上げるように、様々な運用手段を駆使しているのが、いわゆるヘッジファンドです。ヘッジファンドの最大の特長は、リターンの高さも然ることながら、そのリスクの低さにあると考えられます。
例えば株価下落時に空売りすることで、通常のファンドでは損失になる場面で、逆に収益を上げることを目指します。

これは、トレーディングシステムにおける資産カーブを考えれば分かることです。株価の下落時に買い持ちしていれば、資産カーブは減少に転じます。株価が再び上昇に転じればいいのですが、そうならない場合、ドローダウンは拡大し、その結果、リスクは増大します。

株価が戻らないと逸早く判断し、買いから売りに転換すれば、以降の株価の下落を全て利益に替えることが出来、資産カーブは再び上昇を始めます。
ドローダウンは最小限で回復し、その結果、リスクは減少します。

結局、システムトレードで行おうとしていることは、ヘッジファンドそのものであることが分かります。ただし、ヘッジファンドが株式のみならず幅広い金融商品に運用の対象を広げているのに対し、個人レベルのシステムトレードは、その対象が比較的限定されているという違いはあるかもしれません。

やや脱線してしまいました。話を元に戻します。

10年前から最適パラメータが変わらず、その間、資産カーブが上昇を続けているシステムは、果たして10年前から機能していると言えるのでしょうか?

その答えは何とも言えません。

冒頭でも述べたように、そのシステムを運用するためには、少なくとも直近2年、もしくは全期間の2割以上に渡って、最適パラメータが変化していないことが求められます。
すなわち、10年前から最適パラメータが変化していないとしても、10年前に運用開始できたかどうかは別問題となります。

それならば、2年の猶予期間を置いて、8年前から運用を開始したとしたらどうでしょう?

最適化対象指標を統一して、その直近継続期間だけを問題にするのであれば、それは可能かもしれません。しかし、最適化対象指標を最適パラメータの直近継続期間が最長のものとした場合、8年前の時点で現在の最適パラメータが採択されていたかどうかは分かりません。

8年前の時点では、別の最適化対象指標における最適パラメータの直近継続期間が最長だったかもしれません。そして、その最適化対象指標における最適パラメータと、現在の最適パラメータとが同じである保証はありません。
すなわち、8年前にこのシステムの運用を開始したとしても、現在のシステムと同じであるとは限らないわけです。

しかし、過去のどこかの時点で、現在の最適パラメータが採択されることは事実であり、少なくともそれ以降、システムは機能し続けていると言えるのかもしれません。

では、そのようなシステムが複数得られたとして、果たしてそれを持って「機能するシステムは存在する」と言えるのでしょうか?
実は、この命題の答えを得るためには、重要なことがいくつか欠落しています。

一つは「機能する」の定義です。システムが機能していると言えるためには、どの程度の利回りが得られて、どの程度のリスクがあって、どの程度の継続期間が必要なのか、何一つ明確なことは分かりません。
これは本来、理論的な裏付け、もしくは科学的な合意が必要な事項ですが、そのような議論が過去に行われたことは、残念ながら恐らくないでしょう。

もう一つは、「システムの選択」の問題です。永遠に機能し続けるシステムというのは、恐らくありません。そうなると、システムトレードを継続していくためには、そこかしこにシステムの選択を要する場面が現れます。
問題は、そこに恣意性が含まれる可能性がある、ということです。これは、システムの機能性とは直接的な関係はないのかもしれません。しかし、例えばインデックスファンドとの比較を持ち出された場合、避けて通れない命題となります。

それらが明確にならない限り、マルキール氏の呪縛から逃れることは出来ないのです。

結局のところ、「機能し続けるシステムは存在するか」という命題に関しての答えは「分からない」です。それは否定的な回答ではなく、そもそもそれが命題として成立していないからです。

しかし、限定条件として、「〇年前に確定した条件で(想定)運用を開始したシステムで」、「インデックス(対象銘柄)を保有し続けた場合と比較して」、「金利手数料等を除いた損益がインデックスを上回りかつプラスであり」、「資産変動(リスク)がインデックスの株価変動よりも小さく」、「直近△か月の損益がプラスである」システムは、「現在において機能している」として差し支えないのではないかと考えます。

このようなシステムであれば、KFシステムクリエイターで作成したシステムの中から、いくらでもピックアップすることが可能です。
実際の運用に当たっては、上記のような厳密な定義ではなく、資産カーブ推移や直近損益等を確認して、ある程度直感的に判断しても良いのではないかと思います。

KFシステムクリエイターでは、システム作成対象となる銘柄に対し、以下に示す各項目において、ほぼ全数検索となる演算処理を行い、それらの中から最適と見なせるシステムを採択しています。
これは、最大約500億通りの中から、たった一つのシステムを採択することに相当します。

 ×現状18種類の基準ロジック
 ×18種類の最適化対象指標
 ×1993年11月1日以降現在までの約27年間の日数
 ×最大(150×150)通りのパラメータ

場合によっては、これに各種追加システムや合成システム、フィルタ等を設定し、更に検索対象を拡大する場合があります。
それらの中から、通常は数種類の運用候補を抽出し、更に精査して一つに絞り込みます。

その中の重要な要素の一つである最適パラメータは、時間軸も含めた膨大な組み合わせの中のたった一つの解でありながら、極めて堅牢なポジションを有しています。
場合によっては、それは10年以上に渡って変化しないこともある、正にシステムの要となっています。

「機能し続けるシステム」がどういうものであるかは、残念ながら現時点において定義不能であると言わざるを得ません。
しかし、長期に渡って変化しない最適パラメータの存在が、このシステム体系全体の堅牢性を担保していることは、間違いないと考えます。

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