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レジームスイッチングシステムの実例 [KFシステムクリエイター]

ココナラブログにて、KFシステムクリエイター取扱説明書を分割掲載していることについては、以前ちょっと触れたことがあるかと思います。
そちらは、昨日時点で合成システムの章まで完了し、ようやく終わりが見えてきました。

ココナラブログと重複する部分はありますが、今回は先日のコラムでご説明したレジームスイッチングシステムについて、実例をご紹介いたします。

先日も述べましたように、レジームスイッチングシステムとは、市場環境の状態(レジーム)変化を階層化して、それぞれの階層毎に最適なトレーディングシステムを切り替える複合システムです。
レジームをどのように定義するかが極めて重要な課題となりますが、KFシステムクリエイターのような自己回帰システムでは、自ずと株価推移の状態変化で判断するしかありません。

それは例えば、株価の価格水準変化が大きい時期と小さい時期であったり、日々の価格変動が大きい時期と小さい時期であったりします。
前者は株価移動平均変化率、後者はATRが、それらの状態を表す代表的な指標です。

そこで、それらの指標をレジームとして、実際にレジームスイッチングシステムを作成し、検証しました。ベースとなるシステムは、3システムの合成システムで、それぞれレジームを3階層に分類し、階層の境界をパラメータとして最適化しました。

システムに用いた銘柄は6770アルプスアルで、元システム1は回帰順張り正システム、元システム2はRSI逆張り正システム、元システム3は回帰逆張り正システムとしています。
なお、通常の合成システムとは異なり、元システムの順番が違うと結果もまた違ってしまいますが、あくまでシステムの検証用と言うことで、今回は共に上記の順序としました。

以下に、結果を示します。

最初のチャートが回帰順張り正システム、二番目がRSI逆張り正システム、三番目が回帰逆張り正システム、四番目が株価移動平均変化率レジームスイッチングシステム(レジームスイッチMA)、五番目がATRレジームスイッチングシステム(レジームスイッチATR)、の各資産カーブです。

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レジームスイッチMAでは、株価移動平均変化率が-0.5%より大きいレジームを元システム1、-0.5%以下-0.9%以上のレジームを元システム2、-0.9%よりも小さいレジームを元システム3に割り振っています。
また、レジームスイッチATRでは、ATRが4.4%未満を元システム1、4.4%以上5.0%未満を元システム2、5.0%以上を元システム3に割り振っています。

これらの資産カーブを比べてみると、レジームスイッチングシステムの資産カーブはいずれも、元システム1の資産カーブに類似していることが分かります。
ただ、累計損益(率)は増大しており、性能向上効果が認められます。

具体的な性能指標で比較すると、次のようになります。
ここで、各指標の値は(元システム1&元システム2&元システム3)⇒(レジームスイッチMA,レジームスイッチATR)に対応しています。

期待効率:(1.15&0.79&0.75)⇒(1.32,1.31)
EER:(0.42&0.42&0.40)⇒(0.40,0.44)
損益累計:(¥11,821&¥7,535&¥5,712)⇒(¥12,777,¥14,485)
プロフィットファクター:(2.20&1.21&1.14)⇒(1.69,1.76)
勝率:(37.63%&64.33%&60.00%)⇒(52.35%,52.62%)
損益レシオ:(3.65&0.67&0.76)⇒(1.54,1.59)
平均損益率:(3.03%&0.37%&0.24%)⇒(1.68%,1.53%)
平均リターン:(33.05%&16.84%&14.19%)⇒(36.79%,37.16%)
年率リターン:(26.43%&7.22%&4.00%)⇒(28.03%,30.83%)

これらを見ると、期待効率や損益累計、平均リターン、年率リターンが、元システムよりも向上していることが分かります。
一方、他の項目は概ね元システムの中間の値となっています。

また、EERは元システムとほとんど変わらない水準であり、通常の合成システムと違ってリスク低減効果はあまり期待できないようです。
もちろん、これはほんの一例に過ぎず、他の銘柄やシステム、組み合わせ等によっては、違った効果が得られるかもしれません。

これまで検討してきた結果をまとめると、通常の合成システムがタグチメソッドにおけるS/Nの向上に効果的であるのに対し、レジームスイッチングシステムは感度向上に効果があると言えそうです。
これらを上手く組み合わせることによって、より高効率で低リスクなシステムを構築できるかもしれません。

なお、通常の合成システムにつきましては、過去記事やココナラブログに掲載中の記事をご参照ください。

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