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30万円はどこへ消えた? [雑感]

対新型コロナウィルス緊急経済対策として、収入減少世帯に30万円の現金給付を行う案が固まりました。リーマンショックの際には、全国民に一律12,000円の給付を実行したものの、その大半が預貯金に回ってしまい、消費喚起効果が得られなかったとの反省に基づいて決定した、とのことです。

更には、先進国として、諸外国の経済対策に見た目で負けるわけにはいかない、という意図もあるのではないかと思います。というのも、給付想定世帯数は全世帯の6分の1程度の最大1,000万世帯を見込んでいる、ということで、もしも同予算で全国民に給付するとなると、単純計算で30兆円の1億分の一、すなわち国民一人当たり3万円程度でしかないわけです。

これは、単純な数字の比較ですが、アメリカなどの欧米諸国は元より、香港、シンガポールや、お隣の韓国にも見劣りする水準です。何よりも、たった3万円で目前の危機に対処できるとは思えません。
もちろん、給付が必要でない人も数多く存在するわけで、生活困窮世帯に対して集中的に支援するというのは、間違っていないと思います。

リーマンショックの時は、結果的に15兆円が預金に消えた、ということですが、これは必ずしも失敗だったとは思えません。何故なら、リーマンショックは金融危機であり、多くの金融機関が破綻の瀬戸際にあったからです。

政府が当初思い描いた意図通りではありませんでしたが、図らずもお金が金融機関に集まったことで、救われた一面もあったのではないかと思います。
景気対策にはならなかったものの、金融機関の財務健全化には一役買ったのではないでしょうか?それにも関わらず、貸し渋りや貸し剥がしを行った金融機関は言語道断ですが。

では、今回のコロナショックはどうなんでしょう?

これは前回にも書いたように、実体経済の危機です。一般国民が直接被害を被っている、ということです。けして少なくない人々が、税金や年金、保険、公共料金、家賃、ローン、クレジットなどの各種支払いに、戦々恐々としている状況です。

そこで、緊急に30万円を支給する。恐らくはこれで2~3か月は凌げるかもしれません。その間に、新型コロナウィルス感染症を抑え込む。その後経済が回復してくれば、次に第二第三の矢を放って消費喚起を行い、資金を回収する。
政府の意図としては、大方そんなところではないかと思います。

さて、では最初に支給した30万円はどこへ消えるのでしょう?その一部は、食費等の生活費に使われるかもしれませんが、大半は上述の各種支払いに消えていくのではないでしょうか?
ということは、一部は国やインフラ事業者に還流し、残りの多くは金融機関に吸い上げられる、ということになります。

国やインフラ事業者の場合は、手続きが面倒ですが、最悪は支払い猶予などの救済処置が受けられるかもしれません。では、金融機関はどうでしょう?
恐らくは、国からの半強制的な要請がない限り、自主的にそのような動きを取ることはないでしょう。

金融機関はリーマンショックの時、自ら災禍を招いたにも関わらず、結果的には国民(の総体である国家)に助けてもらいました。
そして今度は、意図するしないに関わらず、困窮した国民からお金を吸い上げようとしています。

本来であれば、ここぞとばかりに恩返しのつもりで、国家が支出すると同程度以上の資金を、拠出すべきではないかと考えます。
全ての借入金の返済を、例えば2か月間猶予する、ということでもよいかもしれません。

中には、金融機関が破綻したら日本経済は崩壊する、なんて豪語する人もいますが、日本国民あっての日本経済であり、金融機関はその中の一部に過ぎない、ということを忘れないで欲しいものです。
政治家の皆さんも同じです。政治家は国民のトップに君臨しているのではなく、国民あっての政治家であり、国民の一部に過ぎません。

4月6日 追記

金額の桁を間違えていました。
給付金総額はたった3兆円、中小企業や個人事業主への給付を合わせても、わずか6兆円ですね。

緊急対策予算規模108兆円とか言いながら、本当に困っている人には、その5%程度しか手当てしないとは。
新型コロナウィルス感染症の死亡率とほぼ一緒というのは、何とも皮肉なものです。


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