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システム設計の方法論(3) [システムトレード]

システム設計には、最適パラメータの時系列分析が必須であると述べました。でも、そもそも最適パラメータとは一体何なのでしょう?
さらに、それはどのようにして決定すれば良いのでしょう?

最適パラメータとは、「連続的に可変な因子群を有するシステムにおいて、特定の計測期間におけるシステムの目標性能を最適化する、唯一の因子の組である」と定義できます。
すなわち、最適パラメータとは特定システムに固有の量であるだけでは不十分で、そのシステムの計測期間や目標性能にも依存します。

例えば、同一銘柄、同一ロジックを有するシステムであっても、目標性能がPFか損益累計かで最適パラメータは異なってきますし、もちろんそれらの計測期間が違っても同様です。
以前の私がそうであったように、計測期間や目標性能を固定して、最適化パラメータをより厳密に定義するという考えもありますが、現在では私はそれに否定的です。

私が考案したKFインデックスは、それを目標性能として最適パラメータを決定することにより、より堅牢なシステムが構築出来ることを目指しましたが、残念ながら必ずしも全ての銘柄やシステムなどで有効であるとは言えないことが分かってきました。
結局、白い猫が必ずしも鼠をよく捕る猫であるとは限らない、というわけです。

ここで話を少し戻しまして、最適パラメータが「唯一の因子の組」である理由について考えてみます。これには、最適パラメータは「一意的に決定される」ことも含まれています。
すなわち、ある銘柄の特定システムにおいて、目標性能とその計測期間が与えられれば、最適パラメータは一意的にただ一組だけ決まる、ということです。

分かり易い例えで説明しますと、1つの移動平均を用いたある銘柄のシステムにおいて、計測期間を2001~2010年の10年間とし、目標性能を累計損益の最大化とした場合、それを実現する移動平均期間(パラメータ)は、一意的に決まります。

しかし、異なったパラメータで全く同一の累計損益となる場合があるかもしれません。その場合は、一見、パラメータの一意性は崩れるように見えます。
それでも、一意性を維持することは可能です。最適パラメータの候補として複数のパラメータが得られた場合、例えばその中で最も小さいものを最適パラメータとすれば良いだけです。

最適パラメータを決定する手順さえ明確であれば、複数の候補から最終的に一つを選ぶとしても問題ありません。
上例では、複数候補のうち最も小さいものを最適パラメータとしましたが、それは一般に移動平均期間が小さいほど売買頻度(収益機会)が増える、と考えられるためです。

同様に、何らかのレンジをパラメータとした場合も、パラメータが小さいほど売買頻度や収益機会が増えると考えられます。
一般に、パラメータの性質を理解した上で、パラメータ毎に最終選択方法を決定してやれば良いわけです。

ところで、最適パラメータが一意的に決まらないとは、どのようなことなのでしょう?
ありがちな例として、目標性能がピークとなるパラメータよりも、少しだけ外れた位置を最適パラメータとする、などといった方法が考えられます。

これは、性能がピークとなるパラメータはすぐにずれてしまう、という思い込みから来る手法ですが、では、「少しだけ外れた位置」が一意的に決定されるかというと、必ずしもそうではないようです。すなわち、最適パラメータの決定には、任意性が生じるわけです。

このような場合でも、そのパラメータを用いたバックテストは可能です。したがって、一見、システムの設計手順としては問題ないようにも思えます。
しかし、その方法では、システムの安定性を「事前に」評価することはできません。

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