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システム設計の方法論(2) [システムトレード]

解析的システムに与えられた優位性とは何でしょう?それは一言でいえば、株価推移には時としてトレンドが発生する、ということです。
そのトレンドの継続期間が長いほど、そしてトレンド継続中の変位量が大きく、バラツキが小さいほど、そこから収益を上げやすくなります。

トレンドの発生を的確に捉え、そのトレンドの性質を適切に判断し、そのトレンドへの参入戦略と撤退戦略を構築することで、そこに収益の源泉を見出すことができると考えます。
そこには、オカルト的な要素は不要です。データを解析し、有用な要素を切り出し、オンとオフに再構築することにより、無作為よりも高い確率で波を乗り切ることができるはずです。

そうは言いましても、それらを演繹的に構築していくことは、非常に困難です。多くの場合は、無作為的に種々の方法を試し、その結果を持ってシステムの良否を判断することになります。
結局、黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ、ということになるのでしょう。

例えば、あるテクニカル指標を用いてシステムを構築し、そのパラメータを最適化して、より性能の高いシステムを作成する、というのは、まさに良い猫を追確認する手法です。
そこには、テクニカル指標がトレンドの捕捉にどのように作用し、パラメータがどのような意味を持つかを考察する、という手順は含まれません。

では、このような手法で作成したシステムは、意味がないのでしょうか?これは少なくとも、その時点までは有効に作用しているように見えるシステムです。
一般に、これらの手法は過剰最適化を招きやすく、好ましくないとされています。

でも、自分でシステムを作成したことのある方ならお分かりかと思いますが、このようなシステムであっても、運用後数年以上に渡って機能し続けるものは、少なからず存在します。
その一方で、それ以外の大半のシステムは、運用後すぐに機能停止してしまうものがほとんどである、ということもまた事実です。

結局のところ、良い猫を見つけることは簡単にできますが、その猫が今後も良い猫であり続けるかどうかを見極めることは難しい、ということになります。
極論すれば、それを見極められる方法が存在するかどうかが、解析的システム設計にとって最重要である、と言えるのではないかと思います。

では、良い猫であり続けることを見極めるには、どうすれば良いのでしょう?それには、解析的システムの特徴をよく考える必要があります。
解析的システムでは、株価やその関数の時系列分析により、システムを構築していきます。

一般的には、何らかの指標を目的関数として、それが最大もしくは最小になるように、ロジックやパラメータを調整します。
あるいは、資産カーブのロバスト性などが最良になるように、調整を行ないます。

通常、同一ロジックのシステムであっても、そこに調整可能なパラメータが存在する場合、ロジックを固定してもパラメータを変化させれば、システムの性能は大きく変化します。
性能のパラメータ依存性が大きいシステムは良くない、などと言う説もありますが、解析的システムに関してはそれは当て嵌まりません。

解析的システムでは、一般にパラメータ依存性が大きく、同一ロジックであっても、パラメータの違いによって性能が正反対になる場合も多々あります。
逆に言えば、パラメータが変わるとそのシステムは全く別物になる、と考えてもいいかもしれません。

現在において最も良い猫であるシステムが、将来も良い猫であり続けるためには、少なくともパラメータが変化してはならないわけです。
もちろん可能性としては、現行以外のパラメータが将来更に良い猫を生むこともあり得ますが、それは一般に予見可能ではありません(予見できる場合もあります)。

最も確からしい選択は、現在のシステム性能が将来も持続するのを期待することであり、それには少なくとも、現在のパラメータを将来に渡って踏襲する必要があります。
その固定された条件下において、将来、システム性能が劣化してしまったら、それはそのシステムの寿命が来た、ということです。どんなに良い猫でも、いずれは死んでしまうのです。

では、現在のパラメータが将来も変化しないことを、確認する方法はあるのでしょうか?厳密には難しいでしょうが、ちょっと条件を緩和してやれば、できるだけ長期に渡って変化しないパラメータを有し、その間、十分満足できる期待性能が得られるシステムを設計することは、十分可能です。そのためには、様々な性能指標に対する、最適パラメータの時系列分析が必須となります。

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