セカンドピーク(1) [システムトレード]
トレーディングシステムの最適パラメータは、時間の経過と共に変化します。その変化は、大抵の場合連続的ではなく、不連続な推移となります。
これは、あたかも原子中の電子が、エネルギーを吸収したり放出したりすることで、異なる軌道に遷移する現象に似ています。
システムのある指標に関するパラメータ分布は、十分広い走査範囲においては、複数のピークを持つことが多々あります。
そしてそれぞれのピークは、多くの場合、一定程度の広さの裾野を有しています。
今、もっとも単純なモデルを考えます。それは、一定範囲の裾野を有したピークが複数存在するパラメータ分布で、それぞれのピークを中心とする裾野の値は、富士山のようにピークから離れるに従って、徐々に低下していくものとします。
時間の経過と共に、最適パラメータに位置するピークの大きさは変化します。そのシステムが安定に機能し続けている間は、ピークの大きさが大幅に縮小することはないでしょう。
しかし、システムの運用損失がかさんでくると、そのピークは次第に小さくなっていきます。
その時、他のピークはどのような挙動をするのでしょうか?
あるピークは、メインのピークと同様に、徐々に小さくなっていくかもしれません。しかし、別のあるピークは、メインのピークとは逆に、徐々に大きくなっていくかもしれません。
そして、時間の経過と共に、そのピークはそれまでのメインのピークを追い越して、新たなメインピークに成長します。
その瞬間、システムの最適パラメータは新たなメインピーク(それまでのセカンドピーク)に遷移し、システムの様相は大きく変わります。
新たなメインピークに遷移したシステムは、それまでの不調から脱却できる可能性が広がるわけです(もちろん脱却できない場合もあります)。
システムが不調に陥った時、パラメータ分布のメインピークとセカンドピークの推移を調べれば、そのシステムの切り替えを逸早く行なうことができます。
メインピークが減少を続け、セカンドピークが増加を続けて、両者の入れ替わりが明白になってくれば、完全に入れ替わるよりも前にパラメータを切り替えられます。
セカンドピークにおけるシステム性能は分かっているため、それが運用に値するものであるならば、それまでのメインピークにおけるシステム性能には敵わなくとも、切り替えることによって、以降の期待値を高めることができるかもしれません。
以上のように、パラメータ分布のセカンドピークは、システムの堅牢性を向上させるための重要な意味を持ちます。
しかし、その検出はけして容易ではありません。次回は、その辺りの問題について、考えたいと思います。
これは、あたかも原子中の電子が、エネルギーを吸収したり放出したりすることで、異なる軌道に遷移する現象に似ています。
システムのある指標に関するパラメータ分布は、十分広い走査範囲においては、複数のピークを持つことが多々あります。
そしてそれぞれのピークは、多くの場合、一定程度の広さの裾野を有しています。
今、もっとも単純なモデルを考えます。それは、一定範囲の裾野を有したピークが複数存在するパラメータ分布で、それぞれのピークを中心とする裾野の値は、富士山のようにピークから離れるに従って、徐々に低下していくものとします。
時間の経過と共に、最適パラメータに位置するピークの大きさは変化します。そのシステムが安定に機能し続けている間は、ピークの大きさが大幅に縮小することはないでしょう。
しかし、システムの運用損失がかさんでくると、そのピークは次第に小さくなっていきます。
その時、他のピークはどのような挙動をするのでしょうか?
あるピークは、メインのピークと同様に、徐々に小さくなっていくかもしれません。しかし、別のあるピークは、メインのピークとは逆に、徐々に大きくなっていくかもしれません。
そして、時間の経過と共に、そのピークはそれまでのメインのピークを追い越して、新たなメインピークに成長します。
その瞬間、システムの最適パラメータは新たなメインピーク(それまでのセカンドピーク)に遷移し、システムの様相は大きく変わります。
新たなメインピークに遷移したシステムは、それまでの不調から脱却できる可能性が広がるわけです(もちろん脱却できない場合もあります)。
システムが不調に陥った時、パラメータ分布のメインピークとセカンドピークの推移を調べれば、そのシステムの切り替えを逸早く行なうことができます。
メインピークが減少を続け、セカンドピークが増加を続けて、両者の入れ替わりが明白になってくれば、完全に入れ替わるよりも前にパラメータを切り替えられます。
セカンドピークにおけるシステム性能は分かっているため、それが運用に値するものであるならば、それまでのメインピークにおけるシステム性能には敵わなくとも、切り替えることによって、以降の期待値を高めることができるかもしれません。
以上のように、パラメータ分布のセカンドピークは、システムの堅牢性を向上させるための重要な意味を持ちます。
しかし、その検出はけして容易ではありません。次回は、その辺りの問題について、考えたいと思います。
ピーク関連の一連の記事を興味深く拝見しております。
私自身はFXのデイトレ主体でメインのピーク位置が徐々に移動したり、ピーク自身が消えたり、2つのピークに分裂したり、何も無いところにピークが突然現れるような挙動を示すという前提でリアルタイムにいんちきピークサーチもどきを行っています。
過去の記事を細かく読んでいないので恐縮ですが、本記事のピークの値はどのように算出された値を使われているのでしょうか?
また、複数のピークが見つかる系であれば、最初から複数のピークに分散ヘッジするのは非効率な感じでしょうか・・?
by fai (2011-01-19 22:59)
faiさん、はじめまして。
コメントいただき、ありがとうございます。今後とも、よろしくお願いいたします。
ピークの算出は、パラメータを順次走査して、最適化対象とする指標の値が、極大もしくは極小(指標によって異なります)となるパラメータ(の組)を求めています。
もしも同じ大きさのピークが複数存在する場合は、パラメータの小さい方を採用しています(その方が一般に感度が高いと考えます)。
大きさの異なる複数のピークが存在する場合、複数のピークに分散ヘッジする戦略は、それぞれの相関を考慮した上で行なえば有効だと思います。
特に、メインピークとセカンドピークに分散すれば、時間軸に対するヘッジとなりますし、正のメインピーク(正システム)と負のメインピーク(逆システム)に分散すれば、資産変動に対する有効なヘッジとなります。
by Kフロー (2011-01-20 09:22)
回答ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。
察するに、Kフローさんが最適化の対象とする指標の値は、ピークの先端付近が台形状になったりしない性質のものなのですね。
それならばなるほど納得です。
by fai (2011-01-20 17:53)