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アクティブ運用とシステムトレード [システムトレード]

楽天証券サイトにおける山崎元氏の連載レポート、「ホンネの投資教室」の最新エントリー(第133回 インデックス運用の強味とその理由)は、大変興味深い内容となっています。
今回に限らず、同氏のレポートは大変参考になることが多く、毎回楽しみにしています。

山崎元氏については、実のところ以前はあまり好きではなかったのですが、とある経済バラエティクイズ番組(確か「世界バリバリバリュー」だったと思うのですが)へ出演されているのを見たりして、徐々に好感を抱くようになりました。

以前に氏の「新しい株式投資論」を読んだ時は、日本版マルキールかと思ったものですが、今から考えると、私があまりに稚拙だったということでしょう。

新しい株式投資論―「合理的へそ曲がり」のすすめ (PHP新書)

新しい株式投資論―「合理的へそ曲がり」のすすめ (PHP新書)

  • 作者: 山崎 元
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 新書


さて、冒頭のレポートの中で、アクティブ運用は平均的にインデックス運用に劣ると述べているわけですが、もちろん、「全て」のアクティブ運用がインデックス運用に劣るとは述べていないわけです。

すなわち、アクティブ運用であっても平均(インデックス運用)より優れたものは存在するわけですし、その存在までを否定しているわけではありません。
ただ、相対的に優れたアクティブ運用を「事前に」選ぶことが、一般的に証明されていない、という事実が重要なのだ、ということです。

私を含め、通常のシステムトレーダーが目指すものは、正にアクティブ運用です。すなわち、山崎氏の話は、システムトレードについても当て嵌まることになります。
システムの中には素晴らしい成績を上げるものもあれば、明らかにカーブフィットのものもあるわけですが、それらを事前に判別できない限りインデックスには勝てない、ということです。

そこで、システムトレーダーが取るアプローチも、必然的に、平均への回帰になります。すなわち、システムポートフォリオを組むということです。
ただし、ここで目指すのは、あくまで安定した収益です。アクティブ運用という枠組みから、外れるわけではありません。

システムトレードで、長期に渡って安定的な収益を得ることができるならば、それは取りも直さず、相対的に優れたアクティブ運用を事前に選ぶ方法を見つけたことになります。
それこそが、私たちが追い求め続ける「聖杯」ということになるのでしょう。

ただし、そこにはインデックスの壁が存在します。

すなわち、例えば毎年安定的に年5%の収益を上げ続けるシステムが存在していたとしても、インデックス運用、もしくはそれをベースにしたポートフォリオ運用の収益率が、「平均して」年5%以上であったなら、やはりアクティブ運用はインデックス運用に勝てない、ということになります。

例えば、株式市場の年間騰落率は、数10%に達する場合があります。直近において、インデックス運用がアクティブ運用よりも劣っていたとしても、翌年、あるいは数年後に、その関係がひっくり返る可能性は、常に存在するわけです。

インデックス運用は、あくまで「平均的な」結果を基準とします。そして、これには近い将来を含めた「平均」という意味合いも、含まれているかもしれません。
そのように考えると、そもそも、両者を比較(評価)する基準が明確になっていないように思えます。

スタートとストップが異なれば、運用成績は如何様にも変わります。例えば1990年を運用開始基準とすれば、インデックス運用にとっては著しく不利になるでしょう。
逆に、2003年から2006年までを運用基準とすれば、それはインデックス運用にとって有利になるに違いありません。

工業分野では、評価基準の明確化(標準化)は必須であり、JIS規格やISO規格などで厳密に定められています。投資運用、特にトレードの世界においても、成績の優劣を論じる前に、その成績の前提となる評価基準の標準化を行なう必要があるのではないかと考えます。

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