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「戦略ゲームのはなし」のはなし [雑感]

今、複数の戦略があるものとします。それらの個数はいくつでも構いませんが、それらに共通する複数の状況が対応付けられているものとします。
また、各戦略は、その時々の状況に応じて、得られる利益(利得)が異なります。

そのような場合、私たちはどのような戦略を採ればいいのでしょう?

これは簡単なようで、実は難しい問題です。何故なら、それらの戦略を遂行する者の立場によって、戦略を採択する意思決定が異なってくるからです。
例えば、それがゼロサムゲームなのかそうでないのかによっても、採るべき手段は異なります。

実は、以上は、先日ご紹介した「戦略ゲームのはなし」のエッセンスの一つです。本書の前半はランチェスターの法則について述べられており、後半はゲーム理論について、詳細に解説されています。

戦略ゲームのはなし―必勝のテクニック

戦略ゲームのはなし―必勝のテクニック

  • 作者: 大村 平
  • 出版社/メーカー: 日科技連出版社
  • 発売日: 1990/08
  • メディア: 単行本


冒頭の問いかけは、ゲーム理論に関するものなのですが、同じような利得表であっても、それを用いる者の立場によって、意思決定の方法は異なってくるわけです。
その詳細につきましては、本書をご覧いただきたいのですが、ざっと揚げただけでも以下のようなものがあります。

 確実性のもとでの意思決定:

 競争のもとでの意思決定:
  ミニマックス戦略:最悪時の利得が最大となる戦略
  マクシミン戦略:最悪時の損失が最小となる戦略
  混合戦略:複数の手を確率的に混合して使う戦略 ←→ 純粋戦略

 リスクのもとでの意思決定:
  期待値原理による選択:期待値の大きい方を選択
  効用原理による選択:効用の大きい方を選択

 不確実性のもとでの意思決定:
  楽観的な選択:マキシマックス戦略
  悲観的な選択:ミニマックス戦略
  中間的な選択:楽観と悲観の中間戦略
  ラプラスの法則による選択:状況が起こる確率を均等にした場合の期待値から選択
  リグレット最小の選択:機会損失を最小にする選択

 特殊事情のもとでの意思決定:
  要求水準原理:要求水準以上で一番確率の高い戦略を選択
  最尤未来原理:少しでも確率の高い戦略を選択

冒頭の戦略をシステム、状況を市場環境などに置き換えれば、以上は複数のトレーディングシステムの運用においても、適用できるかもしれません。
ただ、トレードにおいては、様々な意思決定の場面が混在していると考えられるため、単純に一つに当て嵌まるものではないと思われます。

最も一般的なのは混合戦略なのでしょうが、案外と特殊事情のもとでの意思決定が働きがちかもしれません。
また、ギャンブル好きの人はマキシマックスに近い戦略を採るかもしれませんし、慎重な人はミニマックス戦略を採ることでしょう。

これらが必ずしも勝てる戦略に結びつくとは限りませんが、自分のシステムがどのような位置付けにあるのか、一度じっくり考えてみるといいかもしれません。
また、システムポートフォリオを組む際の参考にしてみても、面白いかもしれません。

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