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ドローダウン考 [システムトレード]

昨日のコラムでエイヤと載せたチャートですが、何だかよく分からないですね。ちょっと期間を短くし過ぎたため、各チャートの違いがはっきりと現れなかったようです。
今日のコラムで、これらのチャートについての解説をする予定でしたが、申し訳ありません。出直しとさせてください。

その代わりと言っては何ですが、今日は、少しドローダウンのことについて、考えてみたいと思います。

一口にドローダウンと言いましても、その定義は様々です。まず、大きな分類として、金額ベースと百分率ベースがあります。
金額ベースのドローダウンは、直近最大資産残高からの資産減少額を表し、百分率ベースのドローダウンは、資産減少率を表します。

例えば、株価1,000円の時に1,000株を買い建て、その後株価が一度も上昇することなく800円に下落した場合、金額ベースのドローダウンは、直近最大資産残高に関わらず20万円となりますが、百分率ベースのドローダウンは、直近最大資産残高によって異なってきます。

それが最初の売買であり、元金を全額買い付けに使用した場合、直近最大資産残高は100万円となるため、ドローダウンは20万円割る100万円で20%となります。
一方、それが何度目かの売買の後で、直近資産残高が200万円だった場合、ドローダウンは20万円割る200万円で10%となります。

もちろん、複利運用の場合は、200万円分である2,000株の株式を購入することになるため、ドローダウンは40万円、すなわち20%となりますが、単利運用もしくは単株運用の場合は、最初に決めた100万円もしくは1,000株の購入となりますので、ドローダウンはあくまで20万円、すなわち10%になるわけです。

では、次に株価が一旦1,100円に上昇した後、800円まで下落したらどうなるでしょう?

金額ベースの場合は、言うまでもなくドローダウンは30万円ですが、百分率ベースの場合ですと、ちょっと事情が異なってきます。
すなわち、30万円割る110万円で、ドローダウンは27.3%となるわけです。

そもそも、最初に100万円だったのが、その後80万円になるわけですから、損失額はあくまで20万円です。しかし、ドローダウンということになりますと、途中の資産変動によって、それが30万円にも、場合によっては100万円にもなってしまうわけです。

そう考えると、ドローダウンって一体何なんだろうと思ってしまいます。

しかも、それを金額で表すのと百分率で表すのとでは、また大きく異なってくるわけです。ドローダウンをシステム評価に用いる場合、どのように定義されたドローダウンを用いるのか、さらに、それを用いた場合、どのような問題が予想されるかを、明確にしておく必要があります。

話を少し戻します。

株価推移によって、最終的なドローダウンの値が違ってくるのは、それを時価評価しているからに他なりません。
それでは、簿価評価ベースでドローダウンを求めたらどうでしょう。そうすれば、途中で株価がいくら上昇しようが、最終的なドローダウンは同じになります。

しかし、例えば簿価ベースのドローダウンが10%だったとしても、その過程における時価ベースのドローダウンが80%にも達したとしたら、果たしてそのシステムは正常な神経で運用できるのでしょうか?
そう考えると、簿価ベースのドローダウンの採用にも、疑問を感じずにはいられません。

結局のところ、ドローダウンは参考程度に留めておくべきなのではないか、と思うようになってきました。
個人的にはむしろ、ドローダウン期間の方を、最近は気にするようにしています。

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コメント 2

marbee

いつも拝見させていただいています。

リーマンショックみたいのがあるとドローダウン期間って長期に及ぶので辛いですよね。
もちろんドローダウン率も大きくなりますが。

ドローダウン率や期間ってシステムの有効性を測るのに重要な指標と思いますが、リーマンショックみたいのを経験してしまうと、どこまでを許容範囲とするか悩んじゃいますよね・・・
by marbee (2010-07-08 20:14) 

Kフロー

marbeeさん、こんにちは。
いつもありがとうございます。

ドローダウン期間中であっても、その途中を新たな運用開始日に設定すると、それ以降は結構右肩上がりの収益に見える場合があります。
どこかのタイミングで、資金配分を一旦見直すというのも、いいのかもしれませんね。

by Kフロー (2010-07-09 12:38) 

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