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システム効率(3) [システムトレード]

システム効率は、その定義やチャート形状からも分かるように、微分形の指標です。従って、細かな変化を捉えるには適しているものの、全体像を把握しにくいという欠点があります。
また、有限大の時間を基準とすることから、必然的に遅延が発生するという問題点もあります。

そこで、理想システムとの適合日を累計した「累計適合日数」と、それまでの日数で累計適合日数を割った「累計システム効率」を新たに定義します。
日産順張り逆システムに関するそれらのチャートを、以下に示します。上記と順番が逆になりますが、上段が累計システム効率、下段が累計適合日数です。
100623001.png
100623002.png
基本的には、直近において累計システム効率が一定であれば、そのシステムは直近において機能していると考えられます。
また、その場合、累計適合日数はロバストになります。

ただし、以上の傾向に予測性があるかと言うと、残念ながらその可能性は低いようです。すなわち、バックテスト期間において、累計システム効率がほぼ一定であったとしても、必ずしもフォワードテスト期間においてもそれが維持されるわけではない、ということです。

では、これらの指標は一体何の役に立つのか、ということになるわけですが、あえて言うならば、理想システムとの乖離を把握するため、ということになります。

理想システムの資産カーブそのものは、完全なロバストにはなりません。ボラティリティが大きい時期には、回帰直線の傾きよりも資産カーブの傾きの方が大きくなり、ボラティリティが小さい時期には、その逆になります。

すなわち、理想システムの資産カーブは、その時々の市場構造をダイレクトに反映している、と考えることができます。
そして、実システムの資産カーブもまた、その影響を多少なりとも受けることになります。

そこで、理想システムと実システムの資産カーブ同士の差分を取ってやれば、市場構造(例えばボラティリティ)の影響をキャンセルすることができるはずです。
その結果、累計適合日数チャートは実システムの特性のみを反映し、理想的には完全なロバストになると考えられます。

ただ、先ほども述べましたように、それは現時点までのシステム性能の評価には役立っても、今後のシステムがどうなるかについては、今のところ何も答えてはくれないようです。
理想システムを含めたそれらが、果たして将来を語ることがあるのかどうかについては、残念ながら現時点では分かりません。

将来予測に関しては、私はどちらかというと否定的な見解を持っています。それが、1日程度の極近傍の出来事であったとしても、私は分からないという前提に立って行動することしかできません。
もしも、それが予測できるとすれば、それは現時点以降に突然示現するのではなく、その兆候は既に存在していると思われます。

しかし、その兆候がいつから存在するのかは分かりませんし、どこに潜んでいるのかも分かりません。それを探る様々な方法が考えられ、提案あるいは実践されているのだとは思いますが、どれほどの確実性を持って言えるかという点については、私には見当もつきません。

もしも明日、大規模なテロが発生して株式市場が暴落するとしても、現在の私にはどうすることも出来ませんし、唯一出来ることとしては、明日になってその結果を踏まえた上で、翌日以降の売買判断を下すことくらいしかないのです。

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コメント 6

たかとび

お疲れ様です。。
なんか難しいですねw。。
みんなすごいなー。自分にシステムトレードは無理かもと最近
思うようになってきました。。
by たかとび (2010-06-23 21:28) 

Kフロー

たかとびさん、こんにちは。

目標に対して最短距離で進むことができる人は、ほとんどいないと思います。また、その目標を正確に設定することができる人も同様です。
そのような道を説く人もいらっしゃいますが、けして万人に勧められることではないと思います。

私は、大きな回り道をしても良いと思いますし、回り道の中に重要な真実が隠されている場合もあるのではないかと考えます。
私も大きな回り道をして今に至りますが、それで良かったと思っています。もちろん、今現在もその回り道の最中なのかもしれないのですが。

by Kフロー (2010-06-24 10:04) 

べき分布0.002%の通りすがり

連投失礼します。
Kフローさんの「理想システム」とは何かを読んでからコメントしようと思い、
いまここまで来ました。

理想システムについては特にコメントありません。
基準を設けることはシステムを評価するのに必要ですね。

回り道について
問題に対する解空間が非常に広いときの解の探索は困難を
極めます。仮に、工学的手法(*1)により、数多くの解を発見出来
たとして、その個々の解の検証も相当の時間がかかるでしょう。

投資、投機の世界が、仮説で建てた理想のモデルとならないのは、
観測対象が観測者自身で再帰性がある。ということ、
また、相場参加者の殆どが入れ替わる、ということに起因します。

ただ、人間には学習容易な経験と学習困難な経験があり、
また寿命もあります。

回り道も大切ですが、もっと根本的なことが、もっと重要なのかもしれませんね。

学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち危うし。

by べき分布0.002%の通りすがり (2010-07-19 00:11) 

Kフロー

べき分布0.002%の通りすがりさん、こんにちは。
連続コメント歓迎です。ありがとうございます。

回り道も良いのではないのか、というのは、あくまでたかとびさんに向けて発したコメントであり、けして一般向けというわけではないかもしれません。

これまでに、たかとびさんとは多くの意見を交換してきましたし、多少なりともたかとびさんのお人柄も分かっているつもりです。
その上での、たかとびさん個人に対する励ましの意味を込めてのコメントであるということをご理解ください。

ちなみに、回り道というのは、必ずしもシステムトレードに限定しない、もっと広い意味合いも含めてのことです。

私は会社を辞めて、ひょんなことからシステムトレードの世界に入ってきましたが、では会社勤めが無駄だったかというと、けしてそんなことはありません。
その時に経験した様々なことは、この世界においても非常に役に立っています。

また、将来に渡ってこの世界でやっていけるかどうかは分かりませんし、全く別の世界で生きていくことになるかもしれません。
その場合でも、この世界で経験したことは役に立つと思っています。

私のような風来坊や、専業トレーダーの方々を除いて、多くの方は本業を持っていることと思いますし、同じシステムトレードの世界でも、目標とするレベルは異なって然るべきだと思います。

全ての人に対して上座部仏教の世界を説くのではなく、大乗仏教の世界を説く場合があってもいいのではないか、と思ったりもします。
もちろん、各人が何を求めているのかを知り、それに見合った対応をすべきであることは、言うまでもありませんが。

by Kフロー (2010-07-19 17:43) 

たかとび

感動しました。。
土屋氏のDVDを購入したものの難しそうで何をやればいいのか。。
とにかくまずエクセルの関数ができなきゃこれは無理だと思い、
関数の勉強をしようと思っていたのですがマルチファクターモデルを
作るのに必要な関数てどれなの?あと統計学も必要なので
初心者はどうしたらいいの?みたいな感じでまったくやる気がなかったの
ですが少しずつやろうと思います。
少し前にKフローさんがすすめていた本も購入しようと思います。
しかしここにくるシステムトレードをやっておられる方はつくづくレベルが高いですねw
自分もはやくそうなりたいとは思うのですが。。



by たかとび (2010-07-21 21:34) 

Kフロー

たかとびさん、こんにちは。
いつもありがとうございます。
また、勝手に引き合いに出してしまって、申し訳ありません。

よく言われることですが、頂上を目指して休憩もせず一気に突き進むことは困難です。
その頂上が高ければ高いほど、途中で何回も休憩し、今まで辿って来た道を振り返ることが必要なのではないかと思います。

by Kフロー (2010-07-22 09:05) 

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