SSブログ

同一銘柄システム間の相関(2) [システムトレード]

昨日のコラムでは、日経平均株価の異なる2システム間の相関関係(散布図)をご紹介いたしました。今回は、それらの元となったシステムの資産カーブ、および、散布図に示したシステムペアの合成システムの資産カーブを示し、それらについて考えたいと思います。

最初に、6つの元システムの資産カーブを以下に示します。なお、これらのシステムは、元々散布図のパターンの代表例として選択したものであり、必ずしも良好な性能のものではないことをお断りしておきます。

なお、過去の事例同様、これらは1993年11月1日~2007年12月28日の期間で最適化し、それ以降2010年5月14日まで固定パラメータで擬似運用した結果です。
チャートで言うと、数値軸を除いた右から4本目のラインの辺りから、擬似運用に入っていることになります。
1001回帰P1d01.png
1001回帰P2d01.png
1001回帰P2rd01.png
1001回帰P3d01.png
1001回帰P3rd01.png
1001回帰P4rd01.png
元システムのチャートを見ると、運用開始時点でそれを実際に運用してみても良いかな、と思えるものは、ほとんどありませんが、まあ敢えて言うならば、上から2番目の逆張りシステムと、5番目の累乗平均逆システム、そして最後のブレイクアウト逆システムくらいでしょうか。

これらはいずれも逆張りシステムであることが、興味深いところですが、その後の実運用期間を見ると、運用成績は今一つといったところです。
これは、リーマンショックによる株価下落やボラティリティの上昇が、影響しているものと思われます。

一方、残る順張り系のシステムの場合は、テスト期間中は非常にロバスト性が低くなっていますが、擬似運用開始後には資産カーブが大きく上昇する傾向が見られます。
これは、チャート上に同時に示している、資産vs株価チャートを見ると分かりますが、株価の急落に順張りで対応したために、利益が出やすかったものと思われます。

さて、ではこれらのシステムを、昨日のコラムで示した4通りの散布図の組み合わせで合成すると、どうなるでしょう。
以下に、その結果を示します。
1001回帰P2P3r01.png
1001回帰P1P2r01.png
1001回帰P1P3r01.png
1001回帰P3P4r01.png
相関係数が最も大きいのは、逆張りシステムと累乗平均逆システムの組み合わせですが、これは両方とも逆張りシステムであり、擬似運用開始後の資産推移は横這いから漸減傾向にあります。
ただ、管理限界線を割り込むまでの1年弱の間に、資産は若干増加しています。

続いて、順張りシステムと逆張り逆システムの合成ですが、これはいずれも順張り系システムの組み合わせになります。
順張り系の特徴通り、擬似運用開始後の資産推移は大きく上昇していますが、テスト期間のロバスト性はほとんど改善されていません。

続いて、順張りシステムと累乗平均逆システムの合成ですが、これは順張り系と逆張り系の組み合わせになります。
テスト期間中のロバスト性は多少改善されていますが、擬似運用開始後の資産推移はほとんど横這いです。

最後は、累乗平均システムとブレイクアウト逆システムの合成ですが、これも順張り系と逆張り系の組み合わせになります。
テスト期間中のロバスト性は非常に良好で、擬似運用開始後の資産推移も、ほぼテスト期間中と同様に増加しています。

なお、5月17日以降のデータが含まれていませんが、これらのシステムを最後に更新したのが5月14日だっただけであり、特に他意はありません。
ただ、昨今の状況から、5月17日以降は資産カーブが下落傾向にあることは事実です。

しかし、例えば最後の事例の場合は、5月14日の段階で既に管理限界をほぼ割り込んでおり、それ以降、損失が急激に拡大するという事態には陥らないものと思われます。
すなわち、このシステムの場合は、運用開始後2年強の間機能し続け、収益を上げたまま運用を停止することになったわけです。

ただし、詳しく見ると分かりますが、昨年秋からドローダウン期間に入っており、そこから回復しないままの運用停止ということになります。
銘柄やシステムの性質にもよりますが、この種のシステムの場合、数ヶ月に渡るドローダウンは避け難いようです。管理限界に時間項を追加する必要があるかもしれません。

ちなみに、運用停止した、もしくはドローダウン期間が長くなっているシステムを、再最適化して継続運用する、という方法が考えられるように思われますが、最適化対象に用いているKFインデックスは、資産カーブが管理限界内に留まっている限りは、最適パラメータが変化しにくいという特徴を有しています。

そのため、単にドローダウン期間が長くなってきただけでは、再最適化を行なってもパラメータが変更されない可能性が高く、結局、それまでのシステムと変わらないことになります。
私が用いているシステム体系の平均余命がどれくらいかは分かりませんが、ドローダウン期間が長くなってきたら、運用停止も考え始めないといけないかもしれません。

nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 1

Kフロー

marbeeさん、こんにちは。
いつもありがとうございます。

by Kフロー (2010-05-28 08:52) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

お詫び今週の投資成績(5/24~5/28) ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。