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相関係数算出の注意点 [システムトレード]

前回のコラムでは、2つの資産カーブ間の相関係数を求めるに当たって、資産カーブ間の相関係数を直接求めるのではなく、それらの回帰直線からの残差間の相関係数を求めるべきだ、ということを述べました。

ここで一つ気になるのが、両者の残差のみを比較すれば良いのか、ということです。と言いますのは、一方のシステムの資産カーブ(の回帰直線)の傾きが、もう一方のそれと大きく異なっていた場合、当然、両者の残差のレベル(平均的な大きさ)にも大きな違いがあると考えられるからです。

また、傾きだけではなく、それらの回帰直線の切片(Y軸との交点)にも、大きな違いがあるかもしれません。
そのような残差間の相関係数を求めるに当たり、何の工夫もなくそのまま直接計算しても大丈夫なのでしょうか?

結論から申し上げますと、比較する回帰直線の傾きや切片の違いは、相関係数の値には影響を及ぼしません。
すなわち、各々の資産カーブの残差をそのまま計算に用いても全く問題はない、ということです。

実際に、2つの資産カーブの内一方の資産カーブを構成する各値に、適当な係数を乗じたり定数を加えたりして、両者の回帰直線が一致するようにデータを加工した後、それらの残差間の相関係数を求めると、データを加工しない場合と一致することが分かります。

さて、2つの資産カーブ間の相関係数を求めるに当たって、それらのシステムの期間が、バックテスト期間とフォワードテスト期間あるいは実運用期間とに分かれている場合、両者の相関係数をどの期間で求め、どの期間で判定するべきなのでしょう?

これについては明確な判断はできませんが、システムの運用までを考えた場合、最初にテスト期間内での相関係数を求め、その結果に基いてシステムの組み合わせを決定し、その後のフォワードテスト期間もしくは実運用期間における相関係数で合成システムの可否を判定する、ということになるのではないかと思います。

ただし、合成システムの可否を判定する場面においては、テスト期間を含めた全期間の相関係数で判定するという方法もあるかもしれません。
これは、例えば運用開始後のPFを実運用期間だけで求めるのか、テスト期間を含めた全期間で求めるのか、の違いと同様で、どちらにも一長一短があります。

いずれにせよ、資産カーブ間の相関係数を求める方法は分かったとして、では、どのようなシステム同士の組み合わせが良いのでしょうか?
言い方を変えれば、両者の相関係数が小さくなる組み合わせには、どんなものがあるのでしょうか?

これについては、今までに何度も触れていますが、正逆合成システムも相関係数が小さくなる組み合わせの一つです。
これは、同一銘柄・同一ロジックにおける、順張りシステムと逆張りシステムの組み合わせです。

まだ本格的な検討を行なったわけではありませんが、上記の組み合わせにおいて、必ずしも同一ロジックでなくても、類似したロジックであれば、相関係数が小さくなることが分かっています。
ただし、全く異なるロジック間ではどうなるかという点については、まだ検討しておりません。

次回のコラムでは、何故順張りシステムの資産カーブと逆張りシステムの資産カーブの相関係数が小さくなるのかについて、考察したいと思います。

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