システム間の相関関係 [システムトレード]
2つのシステムを合成するに当たり、どのような基準でその組み合わせを選んだらいいのでしょうか?
まあ、実際にやってみるのが一番手っ取り早いのですが、それでは話が進みませんので、もう少し別のアプローチを考えてみます。
その場合でも、最低限、それぞれのシステムの資産カーブを比較する必要があります。そのため、資産推移の時系列データを用意しなければなりません。
すなわち、日付データとそれに対応した2つの累計資産データが必要となります。
2つのシステムを合成するに当たって重要なのは、元となるシステムが互いにできるだけ関係のない資産推移となっていることです。
これを、両者の相関が小さい状態といいます。もう少し数学的にいえば、両者間の相関係数(-1~1の値)が小さい、ということです。
ただし、ここで注意すべきことは、相関係数の絶対値が小さい(0に近い)状態よりは、相関係数の値がマイナス(-1~0)の状態の方が、より良い合成システムになる、ということです。
これは、厳密には相関が小さいわけではなく、逆相関がある状態ということです。逆相関の場合は、その絶対値が大きいほど良いということになります。
例えば、一方のシステムが資産を減らしている時期に、他方のシステムが資産を増加させていれば、それらの合成システムでは資産が増加するか、減少しても軽微に留まります。
どの時期を取っても、そのような関係が得られるならば、その合成システムは極めてリスクの低い状態にあると言えるでしょう。
しかし、現実にはそのような逆相関の状態にあるシステムの組み合わせを見つけることは、至難の業です。
でも、けして不可能なわけではありません。
その前に、システム同士の相関係数をどのように求めれば良いかについて、考えてみます。
実は、2つの資産推移のデータをそのまま用いて両者の相関係数を求めると(これはエクセルで簡単にできます)、非常に大きな値(といっても1を越えることはありません)になってしまいます。
資産カーブの多くの箇所で、上昇と下落とがペアになった部分(一般的には逆相関の状態にあると考えられます)があったとしても、です。
このようなシステムを合成すると、通常は非常にドローダウンの小さなシステムになります。しかし、それにも関わらず、元システム同士の相関係数は大きいままなのです。
これはいったい、何故なんでしょう?実は、相関係数の求め方に問題があります。
相関係数は、元々、ある基準軸に対してどちら方向にどれだけ離れているかという値に基いて計算されます。
そして、資産カーブのような右肩上がりのデータであっても、その基準軸は水平軸なのです。
すなわち、2つの資産カーブはいずれも、水平軸よりも上方に位置し、その離れ具合も水平軸から見れば大差ありません。
その結果、両者の相関は極めて高いということになってしまうわけです。
では、2つの資産カーブ同士の相関を正しく求めるためには、一体どうしたら良いのでしょう?
それは、各々のシステムにおいて、各時点の資産残高が基準軸の上下に均等に存在するように基準軸を決定し、その基準軸からどれだけ実際の値が離れているかを求めて、その相関係数を計算すれば良いのです。
具体的には、累計資産推移の回帰直線を求め、実際の資産残高から回帰推定値を引いた値(残差)を時系列で計算します。
そして、2つのシステムの残差間の相関係数を求めれば、それが望む結果ということになります。
実際にいくつかのシステムで試してみた結果、非常に低い相関や逆相関が得られる組み合わせが見つかりました。
そして、それらの合成システムのドローダウンは、元システムのドローダウンよりも、非常に小さくなっています。
次回は、相関係数を求める上での注意点や、相関が小さくなる組み合わせの特徴、そして合成システムの特長などについて考えたいと思います。
なお、明日は通常通り「今週の投資成績」を掲載いたしますので、次回(今回の続き)の掲載は来週月曜日となる予定です。
まあ、実際にやってみるのが一番手っ取り早いのですが、それでは話が進みませんので、もう少し別のアプローチを考えてみます。
その場合でも、最低限、それぞれのシステムの資産カーブを比較する必要があります。そのため、資産推移の時系列データを用意しなければなりません。
すなわち、日付データとそれに対応した2つの累計資産データが必要となります。
2つのシステムを合成するに当たって重要なのは、元となるシステムが互いにできるだけ関係のない資産推移となっていることです。
これを、両者の相関が小さい状態といいます。もう少し数学的にいえば、両者間の相関係数(-1~1の値)が小さい、ということです。
ただし、ここで注意すべきことは、相関係数の絶対値が小さい(0に近い)状態よりは、相関係数の値がマイナス(-1~0)の状態の方が、より良い合成システムになる、ということです。
これは、厳密には相関が小さいわけではなく、逆相関がある状態ということです。逆相関の場合は、その絶対値が大きいほど良いということになります。
例えば、一方のシステムが資産を減らしている時期に、他方のシステムが資産を増加させていれば、それらの合成システムでは資産が増加するか、減少しても軽微に留まります。
どの時期を取っても、そのような関係が得られるならば、その合成システムは極めてリスクの低い状態にあると言えるでしょう。
しかし、現実にはそのような逆相関の状態にあるシステムの組み合わせを見つけることは、至難の業です。
でも、けして不可能なわけではありません。
その前に、システム同士の相関係数をどのように求めれば良いかについて、考えてみます。
実は、2つの資産推移のデータをそのまま用いて両者の相関係数を求めると(これはエクセルで簡単にできます)、非常に大きな値(といっても1を越えることはありません)になってしまいます。
資産カーブの多くの箇所で、上昇と下落とがペアになった部分(一般的には逆相関の状態にあると考えられます)があったとしても、です。
このようなシステムを合成すると、通常は非常にドローダウンの小さなシステムになります。しかし、それにも関わらず、元システム同士の相関係数は大きいままなのです。
これはいったい、何故なんでしょう?実は、相関係数の求め方に問題があります。
相関係数は、元々、ある基準軸に対してどちら方向にどれだけ離れているかという値に基いて計算されます。
そして、資産カーブのような右肩上がりのデータであっても、その基準軸は水平軸なのです。
すなわち、2つの資産カーブはいずれも、水平軸よりも上方に位置し、その離れ具合も水平軸から見れば大差ありません。
その結果、両者の相関は極めて高いということになってしまうわけです。
では、2つの資産カーブ同士の相関を正しく求めるためには、一体どうしたら良いのでしょう?
それは、各々のシステムにおいて、各時点の資産残高が基準軸の上下に均等に存在するように基準軸を決定し、その基準軸からどれだけ実際の値が離れているかを求めて、その相関係数を計算すれば良いのです。
具体的には、累計資産推移の回帰直線を求め、実際の資産残高から回帰推定値を引いた値(残差)を時系列で計算します。
そして、2つのシステムの残差間の相関係数を求めれば、それが望む結果ということになります。
実際にいくつかのシステムで試してみた結果、非常に低い相関や逆相関が得られる組み合わせが見つかりました。
そして、それらの合成システムのドローダウンは、元システムのドローダウンよりも、非常に小さくなっています。
次回は、相関係数を求める上での注意点や、相関が小さくなる組み合わせの特徴、そして合成システムの特長などについて考えたいと思います。
なお、明日は通常通り「今週の投資成績」を掲載いたしますので、次回(今回の続き)の掲載は来週月曜日となる予定です。
2010-04-15 19:38
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一歩前進さん、こんにちは。
nice!をいただき、ありがとうございます。
by Kフロー (2010-04-16 09:32)