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合成システムと並列運用 [システムトレード]

今、共に資産カーブが概ね右肩上がりである、2つのシステムがあるものとします。そして、これらのシステムを合成して運用することを考えてみます。
その合成システムの資産カーブは、合成比率を1:1とすれば、元の2つのシステムの資産カーブを平均したものになるでしょう。

また、これらのシステムの損益累計は、元のシステムの損益累計の平均になりますし、プロフィットファクターも両者の平均になります。
何のことはない、それらを単に並列運用すればいいように思えます。

しかし、2つのシステムを合成するのと、並列運用するのとでは、実は大きな違いがあります。
ただし、それは複利運用を行った場合についての話となります。単株運用(一定株数のみの売買)の場合は、基本的には両者に違いはありません。

システムを複利で並列運用する場合は、それぞれのシステムでのトレードに割り当てる資金に、徐々に違いが出てきます。
好調なシステムにはより多くの資金が割り当てられ、不調なシステムに割り当てられる資金は徐々に減少していきます。

そして、十分長い時間が経過した後には、両者の運用比率は運用開始時とは大きく異なっているかもしれません。
場合によっては、一方のシステムのみが生き残っている可能性もあるわけです。

その場合、並列運用によるリスクの低減効果は、時間の経過と共に徐々に薄れていくことになります。そして最終的には、単一システムの運用におけるリスクに収束していきます。
すなわち、この手の並列運用においては、リスクを一定以下に保つために、定期的なリバランスやシステムの入れ替えが不可避となってしまいます。

一方、合成システムの場合は、元システムの運用比率は常に当初の合成比率のままとなります。合成システムにおいては、元システムのシグナルのみが合成され、その運用資金はあくまで合成システムに対して割り当てられるからです。

でも、それだけだと合成システムの利点がよく分かりません。合成システムの資産カーブは、あくまで元システムの合成に過ぎませんし、損益も両者の平均でしかないはずです。
しかし、実はこれは単株運用の場合について言えることであり、複利運用の場合は全く異なってくるのです。

複利運用の場合は、リスクの大きさ、例えばドローダウンの大きさ等が、決定的に重要となります。いくら資金を増大させても、その資金量でトレードした時に最大級のドローダウンを食らえば、資金は一気に減少します。

すなわち、負けトレードにおけるドローダウンを低く抑えることで、資金量の大幅な低下を防ぎ、続く勝ちトレードにおける資金量の増大を後押しします。
これが複利の効果であり、その大前提として、いかにリスク(ドローダウン)を低く抑えるかが重要となるわけです。

前述の並列運用の場合は、リスクは好調なシステムのそれに漸近的に近付いていきます。すなわち、運用を続ければ続けるほど、リスクは増大していくと考えられます。
一方、合成システムの場合は、あくまで当初に想定されたリスクに留まります。

しかも、合成システムのリスク(ドローダウン)は、通常、元システムのリスクよりも小さくなりますから、複利の効き方も元システムより大きくなります。
平均リターンは元システムの平均しかありませんが、年率リターンで比較すると、元システムよりも大きくなる場合が多々あるわけです。

そうは言いましても、複数のシステムを闇雲に合成すれば良いというものではありません。簡単のために、ここでは2つのシステムの合成を考えますが、基本的な考え方はそれ以上でも同じです。
なお、元システムを2つに絞ることで、売買ポジションを買い、売り、キャッシュの3つに分けることができることも、2つのシステムで考える理由の一つです。

それ以上のシステムを合成する場合は、どうしても複数単位の売買が必要になり、運用が煩雑になると共に、より多くの運用資金が必要になります。
2つのシステムの合成であれば、運用資金は最低1単位分で済みます。それだけ効率的な運用が可能となるわけです。

さて、では2つのシステムを効果的に合成するには、どのような基準で組み合わせを選んだらいいのでしょうか?
明日は、その点について考えてみたいと思います。

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Kフロー

一歩前進さん、こんにちは。
いつもありがとうございます。

by Kフロー (2010-04-16 09:29) 

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