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トレンドを定義する(1) [投資・経済全般]

トレードの世界において、トレンドは非常に重要な概念です。何を今さらと思われるでしょうが、実はトレンドという言葉は結構曖昧に使われているのではないでしょうか?
今回は、トレンドの意味、すなわち「定義」について考えてみたいと思います。

トレンドの定義をネットなどでちょっと調べてみると、たいていは次のように定義されています。


『株価などの「高値」および「安値」を順次切り上げていく、あるいは順次切り下げていく状態を、トレンドと言う。』


確かに言っている事は分かるのですが、何だかすっきりとしません。何よりも、「ではこの定義に基いてトレーディングシステムを構築せよ」などと言われると、何をどうしてよいのかさっぱり分からなくなります。

私は一応システム屋ですので、システムを構築しやすいように、トレンドを再定義してみる必要がありそうです。
ただし、トレンドを定量的に論じると難しくなりますので、まずは定性的に考えてみます。

さて、主に次の3つの状態が存在するときに、トレンドが存在するとしてみます。なお、トレンドは別に株価推移に特有のものではなく、もっと一般的な概念ですが、ここでは分かりやすくするため、株価推移を例に話を進めます。


1.平均的な株価推移が、一定以上の傾きを有していること。

 これは、株価の平均的な推移が上昇もしくは下降しているということです。ただし、これだけでは従来の一般的な定義同様、具体的にどう判断すればよいのか分かりませんので、もう少し掘り下げてみたいと思います。

 平均的な株価推移が上昇もしくは下降しているということは、数学的に表現すれば、株価推移の合成ベクトルが、正もしくは負の傾きを有しているということです。
しかし、この定義では実は十分ではありません。なぜならば、その合成ベクトルの始点はトレンド判定を行なう期間の初日の株価、終点は直近株価であることが自明だからです。

 すなわち、単に直近株価が過去の株価よりも高ければ、トレンドが存在するということになってしまいますが、これは明らかに不合理です。
そこで、株価の平均的な推移を表すもう一つの方法として、株価の線形回帰を行うことを考えます。

 これも、単に判定期間の平均株価推移を直線近似しただけであり、このままでは先の合成ベクトルの場合と大差ありません。
ただ、不思議なもので、株価推移に回帰直線を重ねてみると、何かトレンドらしく見えてくるものです。

 そこで、ここでは取敢えず、株価推移の回帰直線が一定以上の傾きを有している状態を、トレンドが存在するための必要条件の一つとしてみます。
それがトレンドであるかどうかについては、2番目以降の定義次第ということになるわけです。


2.株価推移のバラツキが、上記に対して一定範囲以内に収まっていること。

 これは、回帰直線が一定以上の傾きを有しているだけではなく、そこからの株価のズレ、すなわち平均誤差が一定以内に収まっている必要がある、ということです。
これは言い換えると、日付と株価の相関係数が一定以上の値を有している、ということです。あるいは、株価推移の決定係数が一定以上の値を有するとも言えます。

 株価がトレンドを持つということは、それが視覚的にもそう見える必要があります。山あり谷ありの株価推移では、とてもトレンドがあるとは見えないわけです。
相関係数もしくは決定係数は、その度合いを定量的に判定してくれます。


3.以上の状態が、一定期間以上継続していること。

 さて、株価の回帰直線が一定以上の傾きを有し、決定係数がある程度以上の大きさであったとして、ではその状態はトレンドがあると言えるのでしょうか?
実はそれだけでは十分ではありません。たとえば、わずか4~5日のデータを持ってきて、上記2条件に当て嵌まるからトレンドがある、などとはけして言えないでしょう。

 すなわち、それがトレンドとして認知されるためには、ある程度以上の継続期間が必要になります。これも、当たり前の要求です。


以上の3つの条件を満たした状態を、トレンドと定義してやれば、かなり曖昧さは軽減されます。ただし、最初に述べましたように、これはあくまで定性的な定義です。
これを実用的な条件に持っていくためには、これらを定量化してやる必要があります。

例えば、回帰直線の傾きはいくつ以上か、決定係数はいくつ以上か、存続期間は何日以上か、などを決定してやらないといけません。
それらにつきましては、次の機会に考えたいと思います。

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