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可変ポジションシステムの怪 [システムトレード]

数学の世界においては、まず自然数があり、続いて整数、有理数、実数、複素数といったように、より上位の概念が下位の概念を包含しています。
これらの順序は、必ずしも数学の発展の時間軸とは一致しないかもしれませんが、数の概念の進化を考える上では重要です。

トレードにおいても、買いのみのトレードに始まり、続いてそれに売りを加えてドテン運用を覚え、さらにはポジションを可変とする「うねり取り」へと進化していく場合があります。
そのような進化につれて、運用パターンはより複雑化し、収益機会を拡大すると共に、時としてリスクをも拡大することになります。

しかし、これらは数の世界で言うところの「整数」までの概念です。うねり取りの場合でも、基本的には取引単位の整数倍(0倍を含む)で玉を建てるに過ぎません。
しかし、もしも資金が無限に存在し、市場が無限の資金を受け入れることが出来るのであれば、建玉数が整数に留まる必要はありません。

もちろん、そのような仮定を置くことに、現実的な意味はないかも知れません。しかし、これは学術的には、科学者が好んで使うところの「理想化」ということになります。
自然科学の世界に於いては、意識的にこの「理想化」を行なうことにより、より上位の概念への一般化を達成します。

そして、その一般化された概念から、それを導く際に通過した現実的な概念とは異なったカテゴリーに属する概念を導き出すことが出来ます。
その一例として最も有名なものは、アインシュタインの特殊相対性理論から導かれた、質量とエネルギーの等価性でしょう。

アインシュタインは、それまで現実の世界で観測されていた空間という概念を、思考実験によって理想化し、静止空間の一般化(特殊相対性理論の発見)に成功しました(静止していない空間の一般化は、一般相対性理論と呼ばれます)。

質量とエネルギーの等価性という概念は、それまでのニュートン力学からはけして得ることの出来ないものでした。
アインシュタインは静止空間の理想化によって、それまでにはない新しい概念を導くことに成功したのです。

そう考えると、トレードの世界においても、「理想化」を行なうことで新しい概念が見えてくるかもしれません。
それは例えば建玉数の実数化ということになりますが、実はそれ自体は特に目新しいことではなく、既存の多くのトレーディングシステムでも、複利運用などの形で実践されています。

ただし、その理由は積極的な「理想化」と言うわけではなく、単にその方が計算が楽だからということに過ぎないかもしれません。
このように、複利運用や単利運用の資産推移を計算する場合などは、安易に建玉数を実数化するのですが、あくまでそれは便宜的に行なっているに過ぎないのではないでしょうか。

では、例えば「うねり取り」をシステム化した場合、買い増しや売り乗せなどの過程において、建玉数を厳密に整数化する必要があるのでしょうか?
言い換えれば、それを実数化したシステムに、何らかの意味を見出すことができるのではないでしょうか?

建玉数を整数に限らず実数でも可とするシステムなど、そもそも作成不能なのではないかと思われるかもしれません。
しかし、それは作成可能です。しかも、数学的には整数のみのシステムよりも、より明確に定義することができます。

その詳細については、今日の時点では述べませんが、日々連続的に建玉数が変化するシステムなんていうものも作成できます。
もちろん、手数料などを考えれば、全く持ってナンセンスな話ですが、「学術的」にはかなり面白いのではないかと思います。

それが実際の運用にプラスに働くかといえば、明確なことは分かりませんが、少なくとも「整数」の上位概念である以上、整数化システムを包含しています。
まあ、正直言いまして、この可変ポジション(実数化)システムは、かなり気持ち悪いものであることは間違いありません(笑)

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