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トップダウン型システムの問題点 [システムトレード]

5月7日のコラムで触れましたトップダウン型システムは、全ての市場や銘柄に共通のロジックを採用することで、システムの普遍性を高めると共に、十分なサンプル数の確保を狙っています。
すなわち、それだけ堅牢性の高いシステムであり、確率・統計的に優位性があるというわけです。

一方、トップダウン型システムの対極にあるボトムアップ型システムにおいては、市場や銘柄毎にロジックの選定やパラメータの最適化を行うため、過剰最適化に陥りやすいという指摘があります。
また、トップダウン型と比べればサンプル数も少なくなるため、統計的な信頼性に欠けるとも言われています。

しかし、実際のところはどうなのでしょう?

実は、ボトムアップ型システムからトップダウン型システムを構築することは、理論的には可能です。無限の資金があり、かつ非常に高速な処理が可能なボトムアップ型システムがあれば、それらのシステムのロジックやパラメータを共通にして、全銘柄(システム)を並列運用すればいいのです。

もちろん、パソコンレベルではバックテストや日々の更新などに膨大な時間が掛かってしまい、現実的ではありませんが、スーパーコンピュータ等を用いれば不可能ではないでしょう。
あるいは、今後のパソコンの進化によって、そのようなことも可能になってくるかもしれません。

仮に全銘柄数が4,000であったとすると、1銘柄当たり1年に1回のシグナルしか出なくても、平均的には1営業日当たり16銘柄に売買シグナルが出ることになります。
もしも、元となるシステムが平均して年間10回のシグナルを出すものであるならば、1営業日当たり平均160回のシグナルが出ることになります。

現状のトップダウン型システムは、個々の銘柄(システム)の特性は一切無視して、資金の許す限り、シグナルの出た銘柄を買い付ける(もしくは売り建てる)わけですが、その中には当然、個別に見た時にシステムの体を成さない銘柄も多数含まれているものと考えられます。

すなわち、トップダウン型システムを個々の銘柄毎の個別システムに分解すると、それらの中にはサンプル数が極端に不足するものや、あるいはサンプル数が足りていても期待値がマイナスであるものなどが含まれているであろうことが予想されます。

しかし、実際の運用面においては、それらの銘柄を除外する術もなく、事前に決めたルール通りに売買するしかありません。
仮に除外ルールを作ったとしても、そこには裁量的な側面が含まれやすくなります。

もちろん、全銘柄共通のロジックを用いているのであるから、過去に一度も売買したことのない銘柄にシグナルが出ても当然だという考え方もあるでしょう。
それらを全てひっくるめて、1つのシステム(銘柄)として運用しているのだから、統計的には正当だと言われれば、私には返す言葉もありません。

ただ、システムを構成する銘柄の中には、何度もシグナルが出ているものだってあるでしょう。少なくともそのような銘柄に関しては、単一システムとしての評価が可能なはずです。
それらのシステムの個々の期待値はどうなっているのでしょうか?恐らくプラスのものもあれば、マイナスのものもあるかと思います。

それらの大半は期待値がプラスだから問題ない、ということであれば、期待値がプラスのボトムアップ型システムを並列運用してもいいはずです。
その方が、トータルの期待値としては高くなることは明らかです。

要するに、トップダウン型システムの中で、本当によく機能している銘柄を抽出できるのであれば、それらの銘柄だけで並列運用した方が良いのではないかと思うわけです。
そうであるならば、更にそれらの銘柄のパラメータを個々に調整した方が、より高い期待値が見込めるのではないのでしょうか?

う~~~ん。でも、やっぱりこの問題は難しいですね。ちょっと判らなくなってきてしまいました。過去にほとんどシグナルが出ていない銘柄を売買した時に、一番大きな収益が期待できることだってあるわけですね。

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