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期待値1%のシステム [システムトレード]

5月7日のコラムで、期待値が1%のシステムを毎日運用した時に、年利1,000%(資産10倍以上)を達成するのは難しいと述べました。
もちろん、計算上は1.01^250=12.03ですから、毎日確実に1%ずつの利益を上げることができるシステムであれば、複利運用によって資産を10倍以上に増やすことは可能です。

しかし、実際のシステムで、しかも毎日売買するシステムにおいて、勝率100%はあり得ませんから、現実には12倍を超えない値に落ち着くはずです。
今日は、それがどれくらいになるのかを、具体的に計算してみます。

まず最初に期待値の定義ですが、勝率をp、平均利益率をx、平均損失率をy(yは正の値とします)とした時、期待値eは次式で表されます。

 e=x*p-y*(1-p)   (1)

また、簡単のため1年の立会日を250日とした時、複利運用で毎日運用した場合の資産増減倍率cは、次式で表されます。

 c=(1+x)^(250*p)*(1-y)^(250*(1-p))   (2)

ただし、pおよびx、yは小数表記とします。

先日の例で述べた勝率100%、期待値1%のシステムの場合は、x=0.01、y=0、p=1ですから、(1)式より確かにe=0.01=1%、(2)式よりc=1.01^250=12.03となることが分かります。

今、勝率を30%、50%、70%、90%とし、各勝率毎に平均利益率が3%、5%、10%の場合を計算します。
まず、(1)式においてe=0.01(=1%)となるように、各条件におけるyの値を求めます。続いて、pとxとyの値を(2)式に代入して、資産増減倍率cを計算します。

以下に結果を示します。

1.勝率30%
  A.平均利益率3%⇒平均損失率および資産増減倍率算出不可
  B.平均利益率5%⇒平均損失率0.71%、資産増減倍率11.16倍
  C.平均利益率10%⇒平均損失率2.86%、資産増減倍率7.93倍

2.勝率50%
  A.平均利益率3%⇒平均損失率1.00%、資産増減倍率11.46倍
  B.平均利益率5%⇒平均損失率3.00%、資産増減倍率9.89倍
  C.平均利益率10%⇒平均損失率8.00%、資産増減倍率4.44倍

3.勝率70%
  A.平均利益率3%⇒平均損失率3.67%、資産増減倍率10.68倍
  B.平均利益率5%⇒平均損失率8.33%、資産増減倍率7.50倍
  C.平均利益率10%⇒平均損失率20.00%、資産増減倍率0.95倍

4.勝率90%
  A.平均利益率3%⇒平均損失率17.00%、資産増減倍率7.33倍
  B.平均利益率5%⇒平均損失率35.00%、資産増減倍率1.23倍
  C.平均利益率10%⇒平均損失率80.00%、資産増減倍率0.00倍

ちょっと意外な結果となりましたね。勝率が高いシステムの方が良さそうに思っていましたが、結果は全く異なるものとなってしまいました。
勝率が高い割りに期待値が小さいシステムの場合は、平均損失率が極めて大きくなってしまい、その結果、資産があまり増えないわけです。

勝率がやたらと高いのに期待値が小さいシステムは、要注意ということです。
条件2Bのように、勝率50%、平均利益率5%、平均損失率3%の辺りが、バランスの取れた現実的なシステムということになりそうです。

もっとも、以上の結果は期待値を1%に限定した場合ですので、それ以外の期待値では、また異なった結果になります。
計算方法は全く同じですので、興味のある方は試してみてください。

なお、ここでは毎日売買する場合を計算しましたが、そうでない場合は、(2)式において250の箇所を年間平均売買数に置き換えればOKです。
ただし、ここで言う年間平均売買数とは、資金の回転数のことです。一度に何銘柄を仕掛けようが、カウントは1回ですのでご注意ください。

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コメント 1

Kフロー

すみません。思いっきり転記ミスをしていました。
平均利益率との関係を、3%と10%とで逆に記していました。

赤字修正いたしましたので、ご確認ください。

by Kフロー (2009-05-13 09:19) 

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