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資産カーブの盲点 [システムトレード]

昨夜行なったシステムの連続並列実行は、途中で処理が停止することもなく、今朝、無事に終了しました。処理に要した時間は10時間48分で、1システム当り66秒ほどでした。
今回処理を行なった銘柄には、上場期間が短いものが多く含まれていたため、事前検討よりも短い時間で済んだようです。

今週に入ってここまで36銘柄756システムを(最適化)処理してきたのですが、案の定、システムの精査が追いつきません。
まだ2/3以上が手付かずになっています。そんな中、ちらほらと面白いシステムも得られ始めています。

例えば、ホンダのRSI2システムは、2007年12月28日時点で最適化を行い、2008年1月4日から運用開始した場合、昨日時点で運用資産が4.7倍ほどに増加しています。
さらには、それに2nd Layer2システムを適用すると、運用資産の増加は6.4倍にまで達します。その様子を下図に示します。
システムトレード_資産カーブ_7267RSI201a.jpg
システムトレード_資産推移_7267RSI201b.jpg
システムトレード_資産カーブ_7267RSI2SL201a.jpg
システムトレード_資産推移_7267RSI2SL201b.jpg
これは、複利運用の結果であり、手数料は考慮していません。また、取引単位も考慮していません。そのため、実際には若干割り引いて見なければいけないのですが、それでも驚くべき結果です。
ちなみに、レバレッジは掛けていませんし、当然、恣意的な操作は一切していません。

もちろん、過去に遡って実際に運用を開始することはできませんので、これは絵に描いた餅に過ぎないのですが、現時点において、同様のシステムを見出すことができれば、1年後には数倍の利益を得ることも夢ではありません。

ただ、これには一つだけからくりがあります。それは、このシステムの運用を開始した時点で、システムの機能判定がNGとなっていることです。
すなわち、実はこのシステムは、仮に過去に遡ることが出来たとしても、標準的な運用基準を満たさないため、恐らくは運用されることはないだろうというものなのです。

一方で、もしもストップ基準がもう少し低かったら、あるいは、最適化時点における資産カーブの落ち込みがもう少し小さかったなら、このシステムは実際に運用され、大きな収益を上げていたであろうことは、想像に難くありません。

実は私は、システムトレード、特に個別株のシステムトレードというのは、そんなに大きな収益は望めないものだと考えていました。
もちろん、バックテストの時点で年率数10%程度は得られていますし、中には年率100%を超えるシステムも見られます。

しかし、その条件で実際に運用を行えば、1年以上に渡ってその性能を維持することは一般的に難しく、ましてやその数倍以上の性能を示すことなどあり得ないことだと思っていました。
それは実は、資産カーブに対する大きな誤解(錯覚)からきていることが分かりました。

上に示しましたように、資産カーブは通常、単株基準、あるいは単利基準で描かれます。その場合、資産は直線状に上昇することが望ましいと考えられ、回帰直線に基づいたリスク管理が行われる場合もあります(KFシステムクリエイターでもその考えを用いています)。

すると、資産増加率はあくまで回帰直線の傾き程度でしかなく、それを大きく上回ったり、下回ったりすることはほとんどないだろうと、思い込んでしまいます。

実はそこに盲点があります。

よく考えれば当たり前の話ですが、例えば直近1年間の資産増加率を求めるためには、その期間の回帰直線を用いる必要があります。
その期間の回帰直線の傾きと、全期間の回帰直線の傾きとを比較することにより、直近の収益率が分かるのです。

例えば、全期間の平均リターン(1年当り収益率)が30%だったとした場合、その回帰直線の1年当り増分が800円、直近1年の回帰直線の増分が5,000円だとすると、直近1年のリターンは30%×5000/800=187.5%(約1.9倍)にもなります。これは、単株運用でも資産が1.9倍近くになることを意味します。

トレード回数にもよりますが、それを複利運用すると、5倍近くにも達するわけです。上に示しましたホンダのRSI2システムでは、正にそのようなことが起こっているのです。
一見、資産カーブが回帰直線からそんなに離れていないから、そんなに大きな収益にはならないだろうと思いがちですが、絶対値ではなく傾きを見なければならなかったわけです。

これは、資産が増加する場合だけではありません。同様のことが、資産の下落時にも言えます。資産カーブ上の資産残高に対する下落の絶対値だけ見ると、大したことのないように思えても、下落率が想像以上に大きくなる場合が多いのはそのためです。

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