システムトレードと回帰分析 [システムトレード]
投資システムの有効度を示す指標として、資産カーブの回帰直線の傾きとＲ－２乗値が重要であることは、これまでに何度か述べてきた。
このような回帰分析を用いることにより、投資システムの対象銘柄選択を容易にすることが可能となる。
今、表計算ソフトであるマイクロソフト・エクセルで、裏デイトレの投資システムを作成することを考える。
簡単のため、元となるデータは日付とその日の始値および終値のみとし、これが過去数年分入力してあるものとする。終値の隣に”当日ギャップ＝当日始値－前日終値”を入力（計算）し、その隣に、”当日ギャップ累計＝当日ギャップ＋前日ギャップ累計”を入力する。
日付に対して当日ギャップ累計をプロットしたものが、裏デイトレの資産カーブとなる。
さて、このシステムの性能を確認するには、プロットした資産カーブの回帰直線を追加し、その際にオプションとして数式とＲ－２乗値を指定すればよい。
しかし、いちいちグラフを作成するのは面倒であり、何よりも、複数のシステム（銘柄）を比較する際に不便である。
そこで、エクセルの統計関数を用いて、システム性能の比較を容易にする方法を紹介する。なお、エクセルに詳しい人にとっては、全く当たり前の話であることをご容赦願いたい。
まず、システムの効率であるが、これは回帰直線の傾きのことであるから、SLOPE関数を使用する。シートの空いているセルに”=SLOPE(ｎ日前ギャップ累計のセル:当日ギャップ累計のセル,ｎ日前日付のセル:当日日付のセル)”を入力すれば、直近ｎ日間の効率が求まる。
同様に、”=CORREL(”SLOPEの括弧内と同じ”)”とすれば、直近ｎ日間の相関係数が求まる。Ｒ－２乗値にしたいなら、この値を２乗すればよい。
この効率と相関係数を様々な銘柄で比較することにより、裏デイトレに適した銘柄が選択できる。当然、効率と相関係数が高い方がいい。
ここで、直近何日間のデータを比較するかについては、難しい問題である。数年以上の長期間のデータでは、現在が停滞期間に入っている可能性を排除できない。一方、数ヶ月以内の短期間のデータでは、今後の継続性（信頼性）に疑問が残る。
私の場合は、10年程度の長期と、２年程度の中期の両方で比較検討している。
以上の議論は、当然、対象銘柄が裏デイトレに適したものである、すなわち、出来高が大きく、倒産の危険性が低いこと、が大前提となる。
また、単純に効率の大小を比較するのではなく、同一額を投資した場合の実効効率で比較しなければならない。例えば、１０００万円の資金がある場合、効率が５（円／日・株）の銘柄で現在株価が５千円なら、１ヶ月３０万円の期待収益となるが、効率が２（円／日・株）しかなくても、現在株価が千円なら、１ヶ月６０万円の期待収益となる。
そういう意味では、効率を現在株価で割った値を実効効率とし、この値でシステムを比較すればよいことになる。
なお、回帰分析を用いた方法は、資産カーブだけではなく、株価そのものにも適用できる。というか、ＲＲＯＣとして知られる指標が、まさにそれである。
基本的に、ＲＲＯＣは過去ｎ日間の株価の方向性を判断する時に使用するが、この期間を長く取り、相関係数も合わせて判断することにより、トレンドの強さと安定性を客観的に評価できることになる。
以上述べたように、回帰分析を用いれば、効率的に投資システムの比較や判定が可能となる。ただ、最終的な判断は、あくまでも資産カーブや株価チャートで行なうようにしなければならない。視覚的に評価することで、数値だけでは捕らえられなかった思わぬ落とし穴が発見できたりするものだ。
せいさく0319と申します。掲載されている日記を興味深く拝見させていただきました。事後の御連絡となりましたが、当方の記事にリンクをはらせていただき、日記を紹介させていただきました。リンクをはらせていただいた件について何か差しさわりがございましたら、その旨、御連絡ください。また、よろしければ、今後ともそちらのサイトを拝見させていただくつもりですので、よろしくお願いいたします。
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by せいさく0319 (2005-11-16 16:12)
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by Ｋフロー (2005-11-16 17:36)