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投資システムの検証 [システムトレード]

投資システムが出来上がったとして、そのシステムの性能を、どのように評価すればいいのだろうか?

よく使われる指標としては、勝率、プロフィット・ファクター、損益レシオ、最大ドローダウン、等がある。これらの意味については他に譲るとして、実際のところ、これらの数値が求められたとしても、「ではそのシステムを使えば儲かるのか?リスクはどれくらいか?」といった直接的な疑問に即座に答えることは難しい。

我々が知りたいのは、「この投資システムを運用すれば、どれくらいの運用益(期待収益)があり、それがどれくらいの確率で実現しえるか」ということである。

下図は、現在私が運用しているシステムの一株当たりの資産カーブである。実はこの中に、上記の問いの答えが含まれている。

システムトレード_資産カーブ

その方法とは、表計算ソフトで資産カーブを作成した後、そのカーブの線形近似を追加し、その際に、オプションとして、数式の表示とR-2乗値の表示を指定するだけである。

数式の係数部分が、このシステムの効率を表す。少し見づらいかもしれないが、このシステムの場合、効率は現時点で3.6065である。例えば1ヶ月間の期待収益を求めるには、効率に30日を掛けて、一株当たり約108円となる。もし5,000株を売買していたら、約54万円ということになる。
一日当たりの手数料が5千円だとすると、毎日売買したとして、20日で10万円となり、1ヶ月の税引き前利益は約44万円が見込めることになる。

ここで注意したいのは、資産カーブの横軸は、マーケット休場日も含めた時間軸になっているため、1ヶ月の期待収益を求めるためには30日を乗じる必要があることだ。
一方、手数料は売買した時にだけ掛かるため、取引した日数分だけでよい。なお、信用取引の場合は金利が掛かるが、これはマーケット休場日分も課金されることに注意したい。

次に、上述の期待収益がどれくらいの確率で実現されるか、という点については、R-2乗値を見ればよい。ここでは、0.9907という高い値が得られている。
これは簡単に言うと、資産カーブがその線形近似直線からどの程度外れているかという度合いを示している。この値が大きいほど、期待収益通りに収益を上げられる確率が高いと言える。
なお、R-2乗値の最大値は1であり、この場合、資産カーブが完全に直線になることを意味する。

線形近似の専門的な解説は他に譲るとして、リスク管理という観点でシステムを検証するために、具体的にどの程度のドローダウンが起こりえるかを見出す必要がある。
簡単な方法としては、線形近似直線より下側で、同直線に平行な直線を、資産カーブとただ一点で接するように引けばよい。その直線がドローダウンの想定下限ラインとなる。
例示したシステムの場合、線形近似直線から最大200円ほど資産が減少する可能性があることが判る。

なお、資産カーブは日々変化し、それにつれて、効率やR-2乗値も変化する。そのため、上記の例はあくまで現時点のものであり、将来的に保障されているものではない。
今後、R-2乗値が低下してきた場合は、システムの見直しを行なう必要があろう。

ちなみに、本システムは今年の4月上旬に作成・最適化し、しばらくのフォワードテストの後、6月下旬から実運用を開始している。運用開始からR-2乗値は増加してきており、システムとしては順調に動作している。
ただ、実際の売買としては、システム通りにトレードしているものの、時々、引け不出来となり仕掛けができず、機会損失を被ることがある。この辺が今後の課題か。


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コメント 3

えむ

すばらしいですね。
もしそんなに値段の高くない株でやってらっしゃるなら、結構な効率だと
思います。
教えていただけるかどうかわかりませんが、ドテンする判断は
”2日連続マイナスのギャップだったら”
とか結構単純なものでしょうか?
差しさわりのない範囲でなにかヒントを頂けるとありがたいです。
by えむ (2005-10-25 20:16) 

Kフロー

えむさん、こんにちは。

私のシステムでは、明確なトレンドが発生しない限りは、基本的に資金枠を目一杯使って毎日売買します。従って、ここで示した収益を得るためには、
   元金×信用レバレッジ×安全率×投資日数(20日)
という途方もない資金を投入することになります。
従って、元金に対する効率は高いものの、実質的な効率は極めて低い、ということになります。

ドテンの判断ですが、株価そのものではなく、資産カーブの変化で行なっています。
通常は、前日引け買い→当日寄り売り、の時、資産カーブが上向くようになっていますが、えむさんの仰るように、連続したマイナスのギャップが発生すると、資産カーブは下向くようになります。この変化を、資産カーブの移動平均ともう一つの指標(これは内緒にさせて下さい)で捕らえて、ドテンの判断を行なっています。
資産カーブの変化は株価の変化より緩やかな場合が多いので、このような対応で十分機能しています。
by Kフロー (2005-10-26 10:39) 

えむ

なるほど、信用でレバレッジ利かせてるのですね。
ならドテンで買いHOLDだけでなく、売りもできますね。
やはりトレンドあまりないやつですか。というと電力、ガス、鉄道か
時価総額の相当大きいものですね。
ドテンに関してはわかりました。どうもありがとうございます。
by えむ (2005-10-26 11:47) 

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