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裏デイトレの利点と欠点 [システムトレード]

裏デイトレの基本性能は、高ロバスト性、高効率である。それに加えて、裏デイトレには以下に記すような多くの利点がある。

第一に、高ロバスト性という点から、必然的に低リスクである。
加えて、裏デイトレは基本的に毎日売買する。したがって、毎日が利益確定と損切りの繰り返しであり、リスクを最小限に抑えられる。
その結果、集中投資が可能となり、より高効率な資産運用が可能となる。

第二に、デイトレードでありながら場中を監視する必要がなく、時間を有効に使える。
会社勤めの人でも、出勤前に(寄付き)成行売り注文を出しておき、昼休みにでも引け成り買戻し注文を出しておけばよい。毎日これだけのことをするだけで、自動的にトレードできる。

第三に、資産を最大限運用することにより、大きな複利効果が得られる。
平均月間効率が4%だとすると5年で約10倍、6%だとすると約33倍の資産増加が期待できる。これは、毎日資産を更新できるデイトレードの利点である。長期投資のように複利運用でない場合は、それぞれ3.4倍、4.6倍にしかならない。

第四に、裏デイトレは基本的には長期投資である。
会計的には常に株式を保有した状態にあるため、株主としての権利を有することが出来る。もちろん、配当や優待を受けられる。
さらに、資産の最大限運用により、株価下落時にはより多くの株式を購入することができ、資産増加に合わせて保有株数を増やしていくことが出来る。これはドルコスト平均法と同じ効果である。

第五に、システムトレードでありながら場中は全資産が現金化されるため、比較的自由な裁量でプラスαの運用が可能となる。

第六に、裏デイトレは基本的に資産を毎日更新するため、不調時の脱退や再参入が容易である。
その結果、更にリスクを抑えた投資が可能となる。
また、信用取引を用いれば資産カーブが逆になる、逆トレードが可能となる。即ち、前日の大引けで売り建て、当日の寄り付きで買い返済する。この逆トレードと通常トレードを組み合わせることにより、更なる高効率化が見込める。

以上に説明したように、裏デイトレは極めて有効な投資システムである。
しかし、その反面、いくつかの欠点を有していることにも注意しなければならない。

第一に、当然のことながら、以上の結果は過去のシミュレーションや比較的最近の売買によって検証されたものに過ぎず、将来に渡って保証されたものではない。
したがって、現在裏デイトレが有効となっている銘柄であっても、今後も継続して利益を上げ続けられる絶対的な保証はない。

第二に、裏デイトレは特定の銘柄のみに効果を有するものであって、普遍的な投資システムではない。
どの銘柄が有効かは、裏デイトレのシミュレーションによって決定される。

第三に、シミュレーションで効果を確認できた銘柄であっても、以下のような条件を満たさなければならない。
  ①売買手数料に負けないだけの、十分大きなロットが必要。
   最小単位(1tick)の株価変動で、最低2~3万円程度の資産変動がないと手数料
   負けする。
  ②十分大きな出来高であること。
   最低でも一日あたり1,000単位以上は欲しい。そうでないと、自分の売買によって
   相場が崩れ(マーケットインパクト)、システムが崩壊する。
  ③下降トレンド時には大きな窓空けが少ないこと。
   頻繁にストップ安をつける銘柄は、裏デイトレには適さない。さらに、場中の板飛び
   が少ないことも重要である。
  ④財務状況に不安がないこと。
   裏デイトレの基本は長期投資である。対象企業が倒産したら元も子もない。

第四に、裏デイトレは下降トレンドでは大きな効果を発揮するが、上昇トレンドでは効果が半減する。
上昇トレンドにおいて、多くの場合、資産の上昇率は株価の上昇率より低い。特に、大きな陽線を伴う一本調子な上げの場合は顕著である。
上昇トレンド時には裏デイトレを中断し、株をHOLDする等の、追加システムが有効である。

第五に、第三の②でも触れたが、一銘柄あたり大量の資産を投入できない。
寄付きや引けで大量に売買すれば、本来の自然な値幅を圧縮してしまう。寄付き値が、毎日、最小売買単位分下がるだけでも、たいていの場合、その投資システムは破綻する。
これは第三の①に反するが、例えば最大売買数を寄付きの平均出来高の10%以内に抑える、等の対応で回避できる。
一例を挙げると、寄付きの平均出来高が30万株の株式の場合、最大ロットを3万株以下程度に抑えれば、寄り値に影響を与える可能性を低減できる。株価が3,000~4,000円程度の株であれば、約1億円の株を動かせることになり、個人としては十分な金額であろう。
なお、引けは一般に寄付きより出来高が減少するが、こちらはある程度運任せになってしまうのは致し方ない。

以上、裏デイトレの利点と欠点を挙げてきたが、実は裏デイトレの最大の特長は、その可逆性と、積算性にある。

可逆性とは、買いと売りが対等であり、また、株価との相互変換が可能であることを表す。
この特長により、裏デイトレを基礎とした、自由で効率的な投資システムを構築することが可能となる。

積算性とは、日々のギャップを累積していくことにより、株価変動と比べてバラつきの少ない、緩やかなトレンドを持った資産カーブを形成しやすい性質を表す。
この資産カーブに対して、例えば移動平均等の指標を用いれば、資産カーブが下落し始めたときに、いち早く裏デイトレを逆トレードに変換する(ドテンする)、等の対応が取れる。これは裏デイトレによる資産カーブの特長である、緩やかなトレンドがあってこそ可能となる。
株価は予測できない。しかし、緩やかなトレンドであれば、移動平均程度の指標であっても、十分に迅速にフィードバックをかけることが出来るのである。


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大黒天

やはり、どうしても引け成りの買い戻し注文がすべて約定しない可能性が気になりますね。
実際の売買記録が見られるとうれしいですね。
by 大黒天 (2005-11-01 15:09) 

Kフロー

大黒天さん、初めまして。

裏デイトレでは、基本的に出来高の大きい銘柄を売買の対象にするので、引け不出来はめったに起きないと考えているのですが、現在のシステムの銘柄は出来高が少なめなので、時々引け不出来になるようです。
まあ、あのトヨタでさえ、去年引け不出来を1回経験しているので、”時々”程度ならしょうがないかなと思っています。
ただ、裏デイトレの場合は引けで仕掛けるため、引け不出来になって仕掛けが出来なくても、実損失はありません。あくまで、機会損失が生じる可能性があるだけです。
通常のデイトレで引けに手仕舞えないでオーバーナイトを強いられると、大きな実損失が生じる可能性がありますが、裏デイトレではその危険はありません。

売買記録の開示については、銘柄が明らかになるとマーケットインパクトの危険性が増大しますので、ご容赦願います。
by Kフロー (2005-11-01 17:41) 

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