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裏デイトレード(その2) [システムトレード]

一般に、株価が上昇するときは陽線、下降する時は陰線の出現頻度が多くなる。これは自明なことであろう。
株価が上昇トレンドにある時は、市場参加者の多くがトレンドに乗ろうと買いを入れてくる。その結果陽線が多くなる。下降トレンドの時は、その逆である。

以前例示した長期投資という"投資システム"を考える。その資産カーブは、株価の変化に合わせて大きくばらつくだろう。ばらつきが大きい状態は、ロバスト性が低い状態である。

さて、この投資システムに裏デイトレを適用するとどうなるだろうか?

株価が下降トレンドにある時は、陰線の出現頻度が高い。したがって、平均的には現金は増加し、その結果、資産カーブを押上げる。
逆に、上昇トレンドの時は陽線が多くなり、現金が減少する。その結果、資産カーブを引き下げる。

すなわち、資産全体で見た時には、株価の変化による資産のバラツキが圧縮され、その結果としてロバスト性が高くなる。

しかし、ロバスト性が向上しても、肝心な効率が向上しなければ、投資システムとしては十分ではない。

通常、株価が下落している時に、陰線が窓を空けて何度も出現することは意外と多くない。多くの場合は、実体の一部が重なりながら、次第に値を下げていく。裏デイトレでは、この陰線の実体の重なり部分が利益になる。
窓空けの幅の合計よりも、陰線の重なりの幅の合計の方が多ければ、株価が下降トレンドにあっても資産は増加する。

一方、上昇トレンドの時は比較的窓を空けやすい。また、陽線がいくつか続いた後に、陰線で調整が入り、押し目を付けながら上昇していく場合が多い。もちろん銘柄にもよるが、陽線の実体部分が連続的に重なって現れるパターンは比較的少ない。
結局、窓空けの幅の合計の方が、陽線の重なりの幅の合計よりも多ければ、株価が上昇トレンドにあっても資産は増加する。

なお、陽線の実体部分では現金が減少するが、それでも資産は減少しないことに注意したい。なぜなら、寄付きで株を売った時点で資産は固定され、引けで買戻した時と資産の合計は変わらないからである。
すなわち、株の時価と現金の比率が変わるだけである。ちなみに、信用取引で寄付き売り、引け買戻しを行なった場合は、陽線の実体幅分の損失が生じる。

以上より、裏デイトレでは、株価のトレンドに関係なく一様に資産を増加させることが出来る可能性が高い。

では、実際のところはどうであろうか?

以下の例は、昨年の1月から過去10年に渡っての、東証1部上場銘柄の内、59銘柄について以前調査した結果である。データが古いことについてはご容赦願いたい。
マーケットインパクトを考え、比較的出来高が大きい銘柄についてのみ検討した。また、当時の社会情勢から、リスクが高いと思われた金融や建築については対象外としている。

裏デイトレによる10年間の資産増加率を、10年間の株価上昇率で割った値が1よりも大きい、即ち、株式を10年間保有し続けるよりも資産を増加させ得た例は46銘柄あった。母集団の約80%である。しかも、それらの中で資産が当初より減少した例はなかった。

金利・手数料を考えると、以上の結果から、ただちに裏デイトレが有効であるとは断言できないが、少なくとも、裏デイトレをトレードシステムの基幹に据えることにより、より有効なシステムの構築が可能になると考える。


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